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19世紀奴隷船の残骸を発見か。悪名高い奴隷商人が500人のアフリカ人を乗せていた?

ブラジルのアングラ・ドス・レイ地方の海で見つかった船の残骸は、500人以上の奴隷を乗せた19世紀アメリカの奴隷船である可能性があると地元テレビ局が伝えた。

16〜19世紀の大西洋奴隷貿易船の構造を表した図。Photo: Pictures from History/Universal Images Group via Getty Images

現在行われている考古学研究者の調査によると、この船はアメリカの奴隷商人ナサニアル・ゴードンの指揮下にあり、1851年にモザンビークからアングラ・ドス・レイス地方のブラクイに、500人のアフリカ人奴隷を送り届ける途中だったと見られている。

ゴードンはブラジルへの不法な奴隷貿易に関与したとされ、1820年の海賊処罰法により裁判にかけられて有罪となり、処刑された。

ブラジルでは奴隷貿易とそれに関わる航海が違法であったため、警察に追われたゴードンが痕跡を消すために船を沈めたのではないかと推測されている。ゴードンはその後10年にわたり逃亡生活を送った末、1862年にアメリカで絞首刑に処された。

この船については、ブラジルで大西洋奴隷貿易の研究を行うアフロリジェンス研究所、フルミネンセ連邦大学、セルジッペ連邦大学、そして北米の複数の研究機関の研究者によって、昨年調査が開始されていた。

ブラジルの歴史には、何百万人ものアフリカ人・先住民奴隷の存在がある。米プリンストン大学の調査によれば、「新大陸に連れてこられた1200万人のアフリカ人奴隷のうち、ほぼ半数の550万人が1540年から1860年代までにブラジルへ強制的に送られた」という。(翻訳:石井佳子)

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