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海に沈んだ古代都市から紀元前8世紀の宗教施設跡を発見。地震の神ポセイドン信仰の痕跡も

紀元前373年、津波によって海に沈んだ古代ギリシャの都市ヘリケの発掘調査で、宗教施設跡が発見されたとギリシャ文化省が発表した。

古代ギリシャの都市ヘリケの遺跡で見つかった、宗教施設跡。Photo: Ccourtesy Greek Ministry of Culture

ギリシャ中央部、コリント湾の南西岸にあったヘリケは、紀元前373年の冬に地震と津波に襲われ、都市が海に沈んだ。ヘリケのあった場所が長年探されてきたが、2001年に特定され、発掘調査が行われてきた。

これまでの調査で、紀元前710年から700年頃のアーチ型の神殿と、紀元前760年から750年頃のレンガ造りの祭壇が見つかったが、今回新たに2つの建物跡と宗教的な遺物が発掘された。

今回見つかった遺跡の建物は紀元前8世紀に建てられたもので、押し固められた土の床と、3つの段からなる高さ65フィート(約20メートル)の壁があったと考えられている。

もうひとつは紀元前7世紀か6世紀のもので、神殿と思われる石の土台があった。内部からは、アルカイック時代(紀元前800年~同479年)の陶器、土偶、土製の翼、青銅製の蛇の頭が発見された。

この2つの建物の東側では、粘土や青銅で作られた置物や戦車の車輪、バックルやピンのほか、鉄の武器、黄金の首飾りなどが見つかっており、紀元前850年頃には、このエリアが宗教的な目的で使用されていたと推測される。

同じ場所で、ヤギ、ヒツジ、ブタが生け贄として捧げられた痕跡や、ブドウの木の残骸も発見された。考古学者たちは、この地域の人々が、地震と津波に見舞われるたびに海と地震の神ポセイドンに生け贄を捧げ、復興していたと考えている。(翻訳:編集部)

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