パルテノン神殿はカラフルだった!顔料で紋様を描かれていた痕跡を発見
ギリシャ・アテネのパルテノン神殿にあった大理石彫刻は、かつて複雑な模様で鮮やかに彩られていたことが、10月11日、考古学誌Antiquityで発表された研究によって明らかになった。
アテネのパルテノン神殿の階段を飾るために作られた大理石彫刻は、2500年以上前に古代ギリシャ人によって作られた。 その一部は現在、ロンドンの大英博物館が所蔵しているが、所蔵の是非をめぐる議論が起こり、現在もアテネに返還するか否かの論争が続いている。
古代ギリシャやローマの彫刻は何世紀もの間、淡い色をしているか、まったく色がないと思われてきた。この一般的な誤解は、腐食したため、きれいに洗われたものを長年にわたって見てきたことに起因する。 パルテノン神殿の大理石も同様で、絵の具が石の表面に定着するよう塗られていなかったため、剥落が起こっていた。そのため、過去の歴史的な修復では、彫像に付着していた絵の具をきれいに取り除く作業が行われていたのだ。
パルテノン神殿の大理石彫刻には、神々や神話上の生き物が彫られている。それらはかつてエジプトの青、白、紫の鮮やかな色調で彩られていた。その色彩は、神が湧き出る水、海蛇の蛇皮、背景の空間、神々の衣に描かれた形象的な模様など、神の起源を表していた。
考古学者たちは、光を用いた調査法、ルミネセンス・イメージングを使って、彫刻の表面に塗られた塗料の痕跡を調査したところ、化学元素を見つけることができた。研究チームはそこから、4種類の顔料を混ぜて作られた花柄や具象画のような模様が描かれていたことを導き出した。
調査によって検出された青はエジプト人によって作られ、古代ギリシャやローマでもよく使われたもので、紫はこれまで知られていなかった原料、2つの白色は石膏と、骨の灰から作られていた。
研究者たちは論文の中で、色は「彫刻と同じくらい視覚的に重要」であったと書いている。今回の研究成果から、パルテノン神殿はこれまで考えられていたよりもずっと鮮やかな色をしていた可能性がある。(翻訳:編集部)
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