ストーンヘンジが危機遺産に? ユネスコがイギリス政府に二度目の警告
ユネスコはイギリス政府に対し、同政府のトンネル建設計画がストーンヘンジを破壊する可能性があるとして、計画の変更を求めた。変更されなければ、ストーンヘンジはユネスコの危機遺産に追加される可能性がある。
ユネスコはイギリス政府に対し、同政府がストーンヘンジ付近で進めようとしている約3kmのトンネルの建設を止めるよう、再要求した。17億ポンド(約3100億円)もの予算が投じられるこのトンネル計画は、今年初め、イギリスのマーク・ハーパー運輸大臣によって承認され、ナショナル・ハイウェイと呼ばれるイギリス政府機関が主導している。発表されている計画では、ウィルトシャーの古代ストーンサークルに並行して走るA303号線を迂回させ、遺跡の近くを通る二車線の高速道路にするという。既存のA303号線は公共の歩道となる。
国連の文化機関である世界遺産委員会からの再開発変更の要請は、21の加盟国によって承認された。今回の声明では、この計画はストーンヘンジの全体的な価値を「脅かすものであることに変わりはない」と書かれている。
ユネスコがストーンヘンジを巡って今回のような声明を出すのは初めてではない。トンネルの建設計画が発表された2019年、同団体はこれがストーンヘンジに「悪影響」をもたらすとして反対を表明していた。さらにその2年後の2021年には、トンネル計画が現状のまま進めば、ストーンヘンジが危機遺産リストに加えられる可能性があると警告。そして今回、「エイムズベリーとバーウィック・ダウン間の区間について、現状のまま計画の実施を進めず、最低限必要な変更には西側アプローチの地下部分を少なくとも遺跡の西側境界まで延長することが含まれなければならない」という見解を出し、イギリス政府に対して2024年2月1日までに計画変更を行うよう求めている。変更されなければ、ストーンヘンジがユネスコの危機遺産(価値を損なう危機的状況にある世界遺産)に追加される可能性は避けられないものとみられる。
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