海に沈んだ古代エジプトの都市からギリシャの聖域など多数の新発見。傭兵の存在も?
欧州水中考古学研究所は9月19日、ある水中考古学者のチームが、古代エジプトの海底遺跡で新たな発見があったことを発表した。
欧州水中考古学研究所(IEASM)によって2000年に発見された古代エジプトの都市ヘラクレイオン(トロニスとも呼ばれる)は、現在の海岸線からおよそ7km離れた海中にある。紀元前331年にアレクサンドリアが建設されるまで、何世紀にもわたってエジプト最大の港として栄えた。
今回、フランスの海洋考古学者フランク・ゴディオ率いるチームは、アメン神に捧げられた古代の神殿が崩壊した際に出た巨大な石の塊を発見。さらに、銀の祭具、金の宝石、香水や軟膏を入れるアラバスターの容器など、貴重な遺物も発見された。これらはかつて、神殿の宝物庫にあったものと考えられている。
ゴディオのチームとエジプト政府観光局の水中考古学部門が行った発掘調査では、紀元前5世紀の地下構造物も発見された。これらの構造物が海底に沈む前は、木製の柱や梁で支えられていた。埋没した空間や物体の検出を可能にする新しい物理探査技術の使用が、今回の発見に役立った。
アメン神殿の東側からは、アフロディーテを祭るギリシャの聖域が青銅器や陶器とともに発掘された。考古学者たちによると、この地域でギリシアの武器が発見されたことは、王国への侵入を防ぐ傭兵がいた可能性を示唆しているという。また、第26サイテ王朝(紀元前664-同525年)時代には、ギリシア人がこの都市で交易や定住を許されていたことも証明されている。(翻訳:編集部)
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