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2400年前にアレクサンドロス大王が戴冠した宮殿跡の修復が完成、一般公開を再開

古代ギリシャの天才的軍事指揮官で、歴史上屈指の大帝国を築いたアレクサンドロス大王が2400年前に即位したアイガイの宮殿が、1月7日に一般公開を再開した。アイガイ遺跡は、ギリシャ・テッサロニキの西に位置する現在のヴェルギナ近郊にある。

修復作業が完了したアイガイの宮殿跡(2024年撮影)。Photo: Courtesy AFP via Getty Images

アイガイには古代マケドニアの首都があったとされ、ギリシャ文化省によると宮殿遺構の面積は約1万5000平方メートル。アレクサンドロス大王の父であるピリッポス2世が紀元前4世紀にその大部分を建設したもので、当時は国内最大の建造物だった。

ギリシャ文化省の発表では、宮殿跡の修復には16年の歳月と30億円を超える費用が投じられたほか、欧州連合(EU)からの援助も受けている。その過程で、遺跡の発掘や遺物の保存・文書化が行われ、約1400平方メートルにもおよぶモザイク画が、大理石の床や古代の列柱とともに復元された。修復チームが最も気を遣ったのは、建築当時の外観を維持することだったという。

1月5日の落成式には、ギリシャ首相のキリアコス・ミツォタキスも出席。立ち並ぶ柱やカラフルな石造りの床とともに記念撮影のカメラに収まった同首相は、CNNの取材にこう語った。

「ここは、アレクサンドロス大王が暗殺された父に代わって王位に就き、輝かしい遠征を開始した場所です」

紀元前336年に20歳で王位についたアレクサンドロス大王は、東方遠征によって現在のギリシャからエジプトイランインド北部、中央アジアにまたがる広大な地域を征服。地中海東部地域にギリシャの影響を根付かせたその大帝国は、歴史上ヘレニズムと呼ばれる時代を築いた。ヘレニズム時代はアレクサンドロス大王の死から古代ローマ帝国の勃興の頃まで続いたが、アイガイの宮殿は紀元前148年にローマ人によって破壊されている。

ミツォタキス首相はまた、CNNに遺構復元の意義をこう説明した。

「こうした歴史的モニュメントが重要なのは、国や地域の枠を超えた全人類の遺産であるからです。私たちはそれを受け継ぐ者として、この貴重な文化遺産を保護・共有すると同時に、新たに明らかになった点をさらに追求していく必要があります」

なお、現時点では見学ツアーの予約方法などの詳細は明らかにされていない。(翻訳:石井佳子)

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