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2年前に156万円と予想された作品が18億円に! レンブラント本人作と判明した絵画がオークションへ

レンブラントの工房作とされていた絵画《王家の礼拝》。このほど本人作と明らかになったことで、オークションの予想落札額はおよそ百倍になった。

レンブラント作と判明した《王家の礼拝》。Photo: Courtesy Sotheby's

聖書の一場面を描いた油彩の小品《王家の礼拝》は、これまでレンブラント本人ではなく、その工房作と考えられていた。出所履歴によると、この作品は1955年以降、オランダのコレクター、ヨハネス・カレル・ヘンドリック・ヘルドリングが所有していた。

その後、2021年10月に本作を管理していたドイツの個人コレクションからの委託を受けてアムステルダムクリスティーズでオンラインセールにかけられた際には、1万ユーロから1万5000ユーロ(156万円から235万円)で落札されると予想されていた。しかし結果は、その80倍以上となる86万ユーロ(1億3500万円、手数料込み)で落札され、大きな話題を集めた。

この時の落札者がサザビーズのスペシャリスト、ジョージ・ゴードンに作品の再鑑定を依頼し、2019年にレンブラントのカタログ・レゾネを共同執筆した著名な学者の1人、フォルカー・マヌースとともに赤外線画像技術を駆使して調査を進めた結果、本人作であることが判明。調査には、実に18カ月もの月日が費やされた。

さて、この《王家の礼拝》が、今年12月6日にサザビーズロンドンで開催されるオールド・マスターズと19世紀絵画のイブニング・セールに出品される。予想落札額は、なんと1000万ポンドから1500万ポンド(18億1700万円から27億2500万円)。この作品には第三者による保証も付くという。

ゴードンによると、今回の予想落札額は、2020年7月に1200万ポンドから1600万ポンド(21億8000万円から29億1000万円)の予想落札額に対して1450万ポンド(26億3600万円)で落札された自画像など、最近のサザビーズでのレンブラント作品の販売結果に基づいているという。ほかにも、ニューヨークのサザビーズが2021年に出品した《アブラハムと天使たち》(1646頃)が、「当初の予想落札額である2000万ドルから3000万ドル(29億7000万円から44億5000万円)の範囲内」で個人売買されている。また2018年には、800万ポンドから1000万ポンド(14億5000万円から18億1800万円)の予想落札額がついていたキリストの頭部を描いた油彩が、ルーヴル・アブダビによって950万ポンド(17億2700万円)で落札された

レンブラントのオークション世界記録を保持するクリスティーズでは、2007年に聖書の一場面を描いた《大ヤコブ》(1661)が2580万ドル(38億30000万円)、2009年に《両手を広げる男の肖像》(1658)が手数料込みで2320万ユーロ(36億4300万円)で落札されている。(翻訳:編集部)

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