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映画『タイタニック』の名シーンに登場。船首の手すり崩落が最新調査で明らかに

1912年に沈没した豪華客船タイタニック号の最新調査で、約40年ぶりにブロンズ像「ヴェルサイユのダイアナ」が発見されたが、船首のデッキ部分の手すりの一部が腐食して崩落したことが明らかになった。

ニューヨークに向け航海に出るタイタニック号。Photo: Bettmann Archive

1912年に大西洋で沈没し、海底に眠る豪華客船タイタニック号。この船の法的権利を保有するRMSタイタニック社は、2024年7月に20日間に渡る調査を行い、9月2日、調査で撮影した画像を公開した。

ガーディアン紙によると、この調査は2023年6月に起きた別の会社が所有する実験用潜水艇タイタン号の爆発事故を調査するために行われた。RMSタイタニックのスタッフは沈没船と残骸のマッピングを行い、これまでにない高解像度の写真を200万枚以上撮影した。

その中には1986年以来確認されていなかったブロンズ像「ヴェルサイユのダイアナ」の姿もあった。この像はルーブル美術館に展示されている彫刻をもとにした高さ約60センチの像で、一等客室の暖炉のマントルの上に置かれていた。だが残念なことに、映画『タイタニック』で主人公のローズが手を広げた、船首のフォアホールデッキを囲む手すりの一部が腐食して崩落していたことが判明した。2022年の調査時にはまだ残っていたという。

調査結果について、RMSタイタニックのコレクション・ディレクターであるトマシーナ・レイは声明でこうコメントした。

「ダイアナ像の発見はエキサイティングな瞬間でした。しかし、象徴的な船首の手すりや、その他の部分に腐食が見られたことに悲しみを感じています。ですが同時に、タイタニック号の遺産を保存するという私たちの決意がさらに強くなりました」

RMSタイタニック社によると、今回の調査でチームは高解像度の機器を使用し、沈没船とその残骸がある場所の完全な地図を作成したという。次のステップは、科学界と共有できるようにデータを処理し、「危機に瀕している歴史的に重要な遺物を特定し、将来の調査で安全に回収できるようにする」ことだと声明で述べている。

保存状態の良いタイタニック号の遺品は、オークションで高値がつくことがある。今年の4月には、タイタニック号で最も裕福だったジョン・ジェイコブ・アスターの遺体とともに回収された金の懐中時計が、イギリスのオークションハウス、ヘンリー・オルドリッジ・アンド・サンで117万5000ポンド(約2億3000万円)で落札され、タイタニックにまつわる品の史上最高落札額を樹立した。次いで高額なのは、沈没時に乗客を落ち着かせようと演奏されていたバイオリンで、2013年に90万ポンド(当時の換算レートで約1億4000万円)で落札されている。

ヘンリー・オルドリッジ・アンド・サンの幹部であるアンドリュー・オルドリッジは、4月のオークション時に 「タイタニック号ゆかりの品の人気は、物品そのものの重要性や希少性だけでなく、人々のタイタニックの物語への関心が消えていないことを示しています」と話している。(翻訳:編集部)

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