MoMAがパレスチナを象徴するスカーフを持つ来館者の入場拒否を謝罪。「手荷物検査で誤認があった」
ニューヨーク近代美術館(MoMA)は、ケフィエを持っていた来館者が警備員に入場を拒否されたことを謝罪した。ケフィエは中東で一般に着用されているヘッドスカーフだが、ここ数十年はパレスチナ解放の象徴と見なされるようになっている。
ブルックリンを拠点に活動するフリーランスライターのパク・ジュヒョンは、3月16日にこの一件をX(旧ツイッター)へ投稿。友人と2人でMoMAを訪れたところ、バッグに入っていた白と黒のスカーフを理由に入場を拒まれたことについて、「明らかに人種差別的で反パレスチナ的な方針」だと書いている。
その後パクは、アート系オンラインメディアのハイパーアレジックと中東関連のニュースを発信するミドル・イースト・アイの取材に応じ、スカーフを発見した警備スタッフが責任者に連絡したうえで追い返されたが、入館拒否についての詳しい説明はなかったと答えている。
これに対し、MoMAは声明で次のように弁明した。
「ソーシャルメディアへの投稿を受け、現場でトラブルが起きた際に行う調査を決められた手順で実施しました。入手できた全情報を検討した結果、手荷物検査の際にバッグに入っていたケフィエが旗と誤認されたことが分かりました。美術館側でミスがあったことをお詫びします。ケフィエは美術館の持ち込み禁止品目リストに入っておらず、これまで入っていたこともありません。スタッフとも、この点に関するガイドラインやトレーニングが確実に実行されることを再確認したうえで、来館者に連絡をし、謝罪しました」
10月7日に起きたハマスの大規模攻撃以降、アッパーイーストサイドのメトロポリタン美術館からロウワーマンハッタンのホイットニー美術館まで、ニューヨークのさまざまな文化施設が、イスラエルによるガザでの軍事行動に反対するデモの舞台となっている。
MoMAでもこの2月、アトリウムに集まった数百人の親パレスチナ派が恒久的停戦を訴えた。インスタグラムに投稿された画像や動画には、「ヨルダン川から地中海まで、パレスチナを解放せよ」「今すぐ停戦を」「文化関係者はガザとともにある」と書かれた横断幕を掲げるデモ参加者の姿が映っている。
さらに、ミュージアムガイドを模して印刷された1000部を超える冊子では、数人のMoMAの理事が「武器製造、ロビー活動、企業投資を通じてシオニストによる占領に直接関与している」と非難されていた。(翻訳:石井佳子)
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