アート関係者なら知っておくべき「AIとアート」の動きをおさらい! アーティストの活用法から気になる判例まで【2024年アートまとめ】
生成AIの進化は、美術界に新たな可能性と課題をもたらした。作品の査定や保存修復、視覚障害者の鑑賞支援などの活用方法が増え、アーティストたちはAIとの関係を模索しながら古い価値観を打ち壊したり、新しい表現方法を模索してきた。一方、著作権や倫理の議論に火をつける反対運動や判例もあった。2024年のAIとアートを振り返ってみよう。
【アーティストはAIをどう使った?】
「絵を描くコンピュータ」から「ディープフェイク作品」まで、AIアートの歴史を知るための25作品
AIとアートというと、盗用や著作権侵害といった負の側面が取り上げられがちだ。しかし、AIの持つ可能性を探求し、新しい表現を開拓しようとしているアーティストも少なくない。1970年代から現在まで、このテクノロジーがアートに取り入られてきた流れを総覧。その中から25の作品を厳選して紹介する。
AIの時代に美術館は何ができるのか。ハンス・ウルリッヒ・オブリストが人工知能とアートについて語る
アートはAIとどんな関係を結べるのか。この命題を早くから追求してきたのがロンドンのサーペンタイン・ギャラリーを率いるハンス・ウルリッヒ・オブリストだ。意欲的なプロジェクトを数多く手がける彼に話を聞いた。
「AI彼女」「ヌード化」アプリをハック! フェミニズムアートが切り込むAI時代の「ジェンダー規範」
生成AIの一般化で出現したAI彼女やヌード化アプリなどの新ビジネス。しかしそこには、古いジェンダー観を反映した集合知が詰まっている現実がある。こうした問題を孕んだAIの時代にフェミニズムアートは何ができるのか、5人の女性アーティストとその作品をもとに考察する。
ピエール・ユイグが描く「ポスト・ヒューマン」の世界──未来への壮大な問題提起と、そこにある矛盾
ケリング会長兼CEOで世界的コレクターとしても知られるフランソワ・ピノー。2024年には彼の「ピノー・コレクション」が運営するヴェネチアの現代美術館、プンタ・デラ・ドガーナで、フランス人作家ピエール・ユイグの個展「Liminal(識閾)」が開催された。人間の理性を尊ぶ啓蒙主義に問いを投げかけるユイグの作品をレビュー。
【裏方でも活躍したAI】
AIでアート業界の権力構造を変革? アート資産を「客観的かつ透明性をもって」査定するサービスが台頭
「AIとアート」と言われてすぐ思いつくのは、猛スピードで進化を続ける画像生成AIかもしれない。しかし最近は、アートコレクションの資産価値の査定や管理にもAIを利用したサービスが生まれている。AIを用いたアート査定サービスを提供する複数の新興企業を取材した。
視覚障害者とアートの対話を広げるAIアプリ。言葉を通して「見る」こと可能にしたChatGPT-4
あらゆる分野で応用が進む AI技術は、ヘルスケアや障害者支援にも活かされている。その一例が視覚障害者をサポートするモバイルアプリだ。ChatGPT-4の機能を利用した最新アプリを使うアーティスト、M・レオナ・ゴディンに、その体験を寄稿してもらった。
「ムンクの気持ちまでをも考える必要がある」──AIを用いた美術品の保存修復の最前線
レンブラントの《夜警》やモネの《睡蓮》の欠損部分をAI技術で復元したというニュースを目にしたことはないだろうか。AIは美術品の保存や修復にも威力を発揮するものとして注目されているが、そこには無視できない倫理的な問題もある。US版ARTnewsでは、保存・修復分野のAIツール開発を目指す国際共同プロジェクトを取材した。
【AIの「正しい」使い方とは?】
陰謀論と生成AIの時代──情報の真正性を見極める方法を美術史家の視点から考察
日進月歩で進化するAI技術は、さまざまな産業分野で業務の効率化や問題解決に革新を起こしている。その一方、悪意のあるフェイクに用いられるなど、負の側面があるのも事実。偽画像の氾濫が社会にもたらす本質的な問題について美術史の専門家に考察してもらった。
芸術作品をAIの訓練に使用するな! トム・ヨークやカズオ・イシグロ含む芸術家が署名運動を開始
芸術作品を人工知能(AI)の訓練データとして使用しないことを求める書簡が10月22日に公開された。この書簡には、レディオヘッドのトム・ヨーク、カズオ・イシグロ、そしてリン・ゴールドスミスなど、さまざまな芸術分野から、現時点でおよそ1万9000人のアーティストが署名している。
生成AIによるコンテスト受賞作の著作権却下に異議。「創造的インプットは著作権保護が可能」
アートコンテストで1位を獲得した画像生成AIによる作品の著作権申請を却下されたアーティストが、その決定を覆すことを求めて連邦裁判所へ提訴した。