フィリップス新CEOに元CLOのマーティン・ウィルソンが就任。エドワード・ドルマンは相談役へ
世界三大オークションハウスの一つであるフィリップスのエグゼクティブ・チェアマン、エドワード・ドルマンとCEO代理のアマンダ・ロ・イアコノが退社することを受け、最高法務責任者のマーティン・ウィルソンが新たにCEOに就任することが発表された。
昨年までフィリップスの最高経営責任者(CEO)とエグゼクティブ・チェアマン(会長)を兼任していたエドワード・ドルマンが退任することを受け、同社は最高法務責任者(CLO)を務めていたマーティン・ウィルソンを新たなCEOに任命した。ウィルソンは、競合であるクリスティーズでの役員経験や同社の目玉作品の販売促進の成功、そしてコレクターたちとの強固なつながりなどが評価された。
フィリップスは3大オークションハウスの中で最も規模が小さいが、サザビーズやクリスティーズと同様に、厳しい経済情勢に直面している。オークション売上は2023年から2024年にかけて25%減少すると推定されており、こうした状況を受けてサザビーズは先週、社内リストラを実施し、100人以上の従業員を解雇した。
そんな時期に行われた今回の人事異動は、フィリップスのCEO代理であるアマンダ・ロ・イアコノの退社の発表と同時に決定された。ロ・イアコノは、クリスティーズの役員も務めたスティーブン・ブルックスがわずか2年で突如フィリップスを去ることが決まったことを受け、2023年にブルックスの後任としてCEO代理に就任。同社に合計8年間在籍した彼女は、新たなポジションを社外で探すために2024年12月末に退職する予定だという。
ドルマンは2025年5月までエグゼクティブ・チェアマンを務める予定で、その後は同社の相談役に就任する見通しだ。
クリスティーズとカタール・ミュージアムズを過去に率いていたドルマンは、フィリップスの世界的な知名度、特にアジア圏における知名度を向上させ、新進の現代アーティストの作品販売に重点を置くようになったことで評価されている(フィリップスは2024年の年間売上高をまだ発表していない)。今回の人事異動に際してドルマンは次のような声明を発表している。
「フィリップスでの10年間を経て、新たな挑戦に目を向け、アートの世界に携わる新しい方法を模索するときが来たようです。この10年間、私は世界トップクラスのチームと仕事をする機会に恵まれ、フィリップスの影響力を高め、世界中の新たな地域で記録を塗り替える売上を達成するという素晴らしい成果を残すことができました」(翻訳:編集部)
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