• CULTURE
  • NEWS
  • 2023.11.27

世界が注目! 工芸に特化した「KOGEI Art Fair Kanazawa」、史上最多の40ギャラリーが出展

国内唯一の工芸に特化したアートフェア、KOGEI Art Fair Kanazawaが12月1日(金)から3日(日)の日程で、金沢市のハイアット セントリック金沢で開催される(12月1日は招待者限定)。今年は国内外から過去最多となる40ギャラリーが参加。益々盛り上がりを見せる同フェアの見どころをチェックしよう。

過去の展示風景

「工芸の街」金沢が舞台のアートフェア。今年は史上最多の40ギャラリーが参加

「KOGEI Art Fair Kanazawa」の舞台となる金沢市は、江戸時代より加賀藩主の庇護のもとで象嵌や蒔絵などの工芸技術が発展し、現在は加賀友禅や九谷焼、金箔細工など36種もの伝統工芸が受け継がれている。2020年には国立工芸館が移転開館し、日本国内だけでなく世界に対しても「工芸の街」としての知名度を高めつつある。そんな金沢で2017年から毎年開催されているのが、工芸に特化したアートフェア、KOGEI Art Fair Kanazawaだ。

7回目を数える今年は、国内をはじめ、台湾韓国から参加する40ギャラリーが、現代の工芸を中心に、古美術や近代工芸を展示販売する。作家は気鋭の若手から、海外でも評価されるベテランまで幅広い。ホテル型アートフェアというのも大きな特徴だ。客室を丸ごと使った展示は、工芸をより身近なものとして感じることが出来るだろう。

以下、出展ギャラリーの中から見どころを紹介する。

1. 池田晃将(カフェ&ギャラリーミュゼ)

池田晃将《百千流氷香合》 2023(参考作品) Photo: Nakagawa Akifumi

池田晃将は金沢美術工芸大学で漆・木工を学んだ後、金沢卯辰山工芸工房で技術を磨いた。貝殻の裏側の薄い膜を、特注のレーザー機器で0.7ミリ大の数字のパーツに切り出し、貼り合わせた「サイバー螺鈿(らでん)」で知られる。柔軟な発想で伝統工芸と現代アートの垣根を超える、先鋭的な作家だ。

2. 田島美加(TARO NASU)

田島美加《アニマ 31》 2022 Photo: Charles Benton, courtesy of TARO NASU

1975年ロサンゼルス生まれで、現在はニューヨークを拠点に活動する田島。彫刻、建築、音楽、パフォーマンスなど多様な要素を組み合わせた作品を制作する。今回は、吹きガラスによるシリーズ「アニマ」から出展。

3. スナフジタ(小山登美夫ギャラリー)

スナフジタ《錦鯉コップ Nishikigoi Cup》2022

2005年から活動を続ける、藤田匠平と山野千里の陶芸制作ユニット。人と動物が繰り広げるファンタジーな物語を緻密に描いた作品は、熱烈なファンが多い。作家は「人も、水中、陸上の動物も、みみずのような地下の生物も、プランクトンのような微生物も、出来るだけまるごと捉えて表現したいと思っています」と語る。

4. 酒井智也(atelier&gallery creava)

酒井智也《ReCollection series あまたプ》 2023

名古屋芸術大学と多治見市陶磁器意匠研究所で陶芸を学び、愛知県瀬戸市を拠点に活動する。酒井は「知らず知らずのうちに埋没してしまった大切な記憶を再び取り戻していくために制作している」と話す。アニメや映画などのキャラクターを思わせるユニークなフォルムの作品は、可愛らしくもどこか懐かしい。

5. 奈良祐希(多治見市文化工房ギャラリーヴォイス)

奈良祐希《Bone Flower》 2022 Photo: Hayashi Shugo

多治見市陶磁器意匠研究所、東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修了。建築家と陶芸家の2つの顔を持っており、自らの作品を「“設計”の陶芸」と呼ぶ。日本の文化や自然を学んで参照しながらエッセンスを抽出し、伝統的な陶芸とは異なる革新的な領域と融合させることで超現代化するという。

6. キム・ドンジュン(Gallery LVS & Craft)

Kim Dongjun《Moon jar》 2023

韓国を拠点に活動する陶芸家。伝統的な薪窯の技法を駆使して制作するムーン・ジャーは特に人気が高い。昨年韓国の同ギャラリーで開催された個展では作品が完売したという。

7. 久野彩子(ガレリアポンテ)

久野彩子《REBORN》

武蔵野美術大学工芸工業デザイン科金工専攻卒業、東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻(鋳金)修士課程修了。ロウで作った精密な形状を鋳物に置き換える手法「ロストワックス鋳造技法」で作品を制作する。「都市」をテーマに、堅牢な金属に施された高密度の造形美を表現する。

工芸に触れて、その魅力を知る茶会も開催

工芸は「用の美」とも表現される。会期中、これからの⼯芸界を担う12⼈の現役作家が制作した器や茶道具を⽤いた、国⽴⼯芸館主催の茶会が開催されるので実際に触れてその魅力を感じてもらいたい。1日(金)12:00から、1928年に造り酒屋として建てられた旧中村邸で、創業240年以上の⽼舗漆器店の主⼈が⾦沢の伝統的な茶会を開催する。2日(土)と3日(日)の両日はメイン会場の ハイアット セントリック⾦沢で、茶道家の奈良宗久が客主を務める(計8回)。3日(日)18:00から、安藤忠雄の建築「⻄⽥幾多郎記念哲学館」を夜間に特別開館し、ホワイエに設置した茶室で建築家の三浦史朗、浦淳、陶芸家の中村卓夫が客主を務める。いずれも有料・要申し込み。

KOGEI Art Fair Kanazawa 2023
会期:12月1日(金)~ 12月3日(日)※1日は招待客のみ
会場:ハイアット セントリック 金沢 2・5・ 6F(石川県金沢市広岡1丁目5-2)
時間:11:00 ~ 19:00 (1日は13:00から、3日は18:00まで、入場は30分前まで)

あわせて読みたい

  • ARTnews
  • CULTURE
  • 世界が注目! 工芸に特化した「KOGEI Art Fair Kanazawa」、史上最多の40ギャラリーが出展