今週末に見たいアートイベントTOP5: マリー・ローランサンの初期から最晩年を約90点で辿る、国内外から約80組が集結!札幌国際芸術祭
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!
1. マリー・ローランサン ―時代をうつす眼(アーティゾン美術館)
マリー・ローランサンの創作と彼女が生きた時代の美術を約90点で紹介
20世紀前半のパリで活躍した画家、マリー・ローランサン(1883-1956)。キュビスムの画家として活動を始め、パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックなど同時代の画家たちと交流する中で、パステルカラーで女性たちを描く独自の画風を確立した。また、文筆や詩にも興味を持ち、バレエの舞台装置や衣裳のデザインを手掛けるなど、幅広い活動をしたことでも知られる。
本展では、石橋財団コレクションや国内外の美術館から、キュビスムの画家として活動していた初期から最晩年の大作《三人の若い女》に至るまでのローランサンの作品約40点、挿絵本等の資料約25点を展示する。また、ピカソやブラック、ラウル・デュフィなど同時代に活躍した画家たちの作品約25点も合わせて紹介することで、ローランサンの生きた時代と彼女の創作の魅力を紹介する。
マリー・ローランサン ―時代をうつす眼
会期:2023年12月9日(土)~ 2024年3月3日(日)
会場:アーティゾン美術館(東京都中央区京橋1丁目7-2)
時間:10:00~18:00(2月23日を除く金曜日は20:00まで、入場は30分前まで)
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2. 「回復する」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館)
不安を抱える現在をアートを通して受容し、「回復」を試みる
コロナ禍から約3年、私たちは不安を抱え、その終わりを待ち望みながら日々たゆみなく歩みを続けてきた。一様に復調したと言えない現在は、新たな争いや災害が起こり、平穏を得ることの難しさに直面している。だが、これまでを振り返ったときに誰もが大小の人生の起伏を乗り越えた経験を持ち、それぞれの傷を抱えながらも進んできたことに希望を見出すことが出来る。
以前の日々に戻れないような経験をし、それでも前を向き続けるにはどうしたら良いのだろうか。本展では、社会や自己のあり方を問い直し、他者との関わりや時間の経過などがその推進力になり得ると考え、それらを表現した作品を展示。弱った心身を受容しながら生きる術を得る契機となることを試みる。出品作家は猪熊弦一郎、大岩オスカール、兼子裕代、畠山直哉、小金沢健人、モナ・ハトゥム、米田知子。
「回復する」
会期:2023年12月23日(土)〜 2024年3月10日(日)
会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川県丸亀市浜町80-1)
時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)
3. 遠藤薫 「秘密 / 作品の相談をする・される」(PARA神保町)
遠藤薫が変化し続ける新作インスタレーションを発表
沖縄の芸術大学で工芸を学び、重要無形文化財保持者の志村ふくみの下で紬織の技術を習得した遠藤薫。ベトナムの人々が使用した雑巾を集め、ひとつの大きな雑巾に縫いあげて街を掃除する《Uesu(waste)》、青森の津軽裂織の技術を学び、落下傘(パラシュート)を作り上げた《閃光と落下傘》など、工芸を取り入れたコンセプチュアルな現代アートを制作する、異色のアーティストだ。
本展では、デッキの上に遠藤が集めた物たちを置いて、混ぜる。その変化し続ける過程を展示する。また、混在する物たちを思考になぞらえ、それらを整える作業を睡眠時に見る「夢」と重ねた。1日のうち1回は、応募者が遠藤による占いを受け、作品の相談をする時間と、遠藤がゲストに作品の相談をする時間が設けられ、観覧者はその様子を見学できる。ゲストは1月20日(土)は作家のしまおまほで、相談内容は「家族とはなんですか」(15:00から)、1月21日(日)はユング派の研究者と画家の蓮沼昌宏で「ユング派とはなんですか-精神療法・夢から円盤まで」(18:30から)。
遠藤薫 「秘密 / 作品の相談をする・される」
会期:2024年1月11日(木)〜 2024年1月22日(月)
会場:PARA神保町(東京都千代田区神田神保町2-20-12 第二冨士ビル2F)
時間:13:00 - 19:00(イベントにより変更あり)
4. 米田知子 氷晶(ShugoArts)
米田知子が自然を見つめ続けた10年間。24点が初公開。
ジークムント・フロイトや谷崎潤一郎など20 世紀の波に翻弄された人物が使用した眼鏡と、彼らにまつわる文章などを組み合わせて撮影することで彼らの内奥に迫る「見えるものと見えないもののあいだ」シリーズや、戦場跡や震災の被災地などに赴き、かつてそこに発生した出来事の痕跡を切り取る「Scene」シリーズなどで知られる米田知子。
本展は、2013年から23年にかけてフィンランドの凍てつく寒さの中で撮影した氷晶シリーズを中心に展示する。そのうち、シベリア鉄道旅行中に撮影した《氷晶、シベリア I・II》(1998/2023)、ラップランド(フィンランド)・キルピスヤルヴィ村で撮影された「Aurora」シリーズ、17世紀絵画でヴァニタス(虚栄)の象徴として描かれるシャボン玉をモティーフとした作品など約24点が初披露となる。2月24日(土)の17:00~19:00、作家在廊のクロージングレセプションを開催する。
米田知子 氷晶
会期:2024年1月13日(土)~ 2月24日(土)
会場:ShugoArts(東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F)
時間:11:00~18:00
5. 札幌国際芸術祭2024(未来劇場ほか札幌市内各所)
10カ国以上、約80組が参加。札幌を舞台に繰り広げる6年半ぶりの芸術祭
6年半ぶりの開催となる札幌国際芸術祭。小川秀明がディレクターを務める今回は札幌市内6カ所を会場に、10カ国以上、約80組のアーティストの作品を展示するほか、屋外イベントや、市民参加型プロジェクトも行われる。
メイン会場となる未来劇場では、韓国のチェ・ウラムが新作を含む複数点を展示するほか、ドイツのジョヴァンニ・ベッティ+カタリーナ・フレックが地球温暖化をテーマにした大規模なインスタレーションを発表。北海道立近代美術館では1924年から2024年までの100年を再考する展示を行う。モエレ沼公園では、フィンランド出身のユッシ・アンジェスレヴァとスイスのアーティストユニットAATBが、雪倉庫という特殊な空間を使って、ロボットアームと氷、光を使ったインスタレーションを作り上げる。
札幌国際芸術祭2024
会期:1月20日(土)~ 2月25日(日)
会場:未来劇場[東1丁目劇場施設](札幌市中央区大通東1丁目、旧北海道四季劇場)、北海道立近代美術館、札幌芸術の森美術館、モエレ沼公園、札幌文化芸術交流センターSCARTSほか
時間:会場により異なる