超希少なエアジョーダンを回収ボックスから発見! チャリティオークションで、700万円超で落札される
ナイキのお膝元、ポートランドのNPOが寄付用に設置した回収ボックスから、映画監督のスパイク・リーのためにデザインされたエアジョーダンが見つかった。サザビーズのオークションで5万800ドル(直近の為替レートで約730万円、以下同)で落札されたこの靴は、一体誰が寄贈したのか。
サザビーズのオークションで5万800ドル(直近の為替レートで約730万円、以下同)で落札された金色のスニーカーは、2019年の第91回アカデミー賞授賞式でスパイク・リーが着用したのと同じ、ナイキ エアジョーダン3 レトロ「スパイク・リー・オスカー」モデルだ。リーはこの年、『ブラック・クランズマン』で脚色賞を受賞した。
出品されたスニーカーは、今年4月、ナイキ本社に近いオレゴン州ポートランドの非営利団体、ポートランド・レスキュー・ミッションのバーンサイド・シェルターに設置されたチャリティボックス(日本のリサイクルボックスのようなもの)に入れられていたもので、寄付者についての情報は全くない。サザビーズはクリスマスシーズンのこの時期にオークションを行い、売り上げの全額を同団体に寄付している(落札者は通常の手数料をサザビーズ支払っている)。
このスニーカーは一般発売されなかったため、流通している数は非常に限られている。サザビーズによると、スニーカーのヒール部分には、リーの制作会社である40 Acres and A Mule Filmworksのロゴと、大きなジャンプマンのマークがあしらわれている。また、リーとこのシューズのデザイナー、ティンカー・ハットフィールド2人によるサインが刺繍されている。
ポートランド・レスキュー・ミッションのウェブサイトによると、長期保護プログラムに参加している男性がチャリティボックスを整理していたところ、新品同様の靴が出てきたという。届けられたシューズを見たプログラム・ディレクターのエド・ホルコムは、スパイク・リーがアカデミー賞授賞式で履いていたエアジョーダンだと気づいたが、偽物に違いないと考え、ポートランドのダウンタウンにある高級スニーカーのリセールショップに持ち込んだ。オーナーは、査定に長い時間をかけたという。
「最後にもう一度じっくりと見た後、オーナーに、いま1万ドル(約144万円)で買い取ってもいいが、委託販売すればもっと高く売れる可能性があると言われた」。ホルコムは自分でも相場を調べ、同じようなシューズが2021年にサザビーズのオークションで、4万8000ドル(約690万円)近くの値が付いたことを知る。
その後、ポートランド・レスキュー・ミッションがスニーカーのデザイナーであるハットフィールドにコンタクトをとったところ、ポートランドに飛んできた彼は靴が本物であることを認めた上で、同団体に寄贈したという。サザビーズによれば、「シューズを入れるリプレイスメントボックスや、ハットフィールドがサインしたデザイン証明を額装したものなども追加」されている。
ハットフィールドはポートランド・レスキュー・ミッションのスタッフにこう語っている。
「このスニーカーがここに届いたことに感激しています。スパイク・リーのためのプロジェクトは、本当に素晴らしいハッピーエンドを迎えました」(翻訳:石井佳子)
from ARTnews