世界的コレクターによる、ヴェネチアの島をアートスペースにする計画が始動
ヴェネチア沖の小さな離島、サン・ジャコモ島は、アートコレクターのパトリツィア・サンドレット・レ・レバウデンゴによってアートスペースに生まれ変わることになった。これは、イタリアのトリノ、グアレーネに続いて3例目となる。
レバウデンゴの財団はこのスペースを 「生態学的考察のための実験空間 」にする計画を明らかにし、キュレーターのハンス・ウルリッヒ・オブリストが企画したイオタ・モンバサ(Jota Mombaça)のパフォーマンスでスタートを切った。
島にはナポレオンが1810年に建設した3つの火薬庫があるが、この建設のために彼の軍隊が島の古代からの修道院を破壊したという歴史を持つ。火薬庫が今、レバウデンゴによって展覧会やイベントを開催できるスペースに生まれ変わろうとしているのだ。また、プロジェクトの一環として島は整備され、50年間使われていなかった建物の周りには新しく木が植えられる予定だ。
レバウデンゴ財団によると、2024年にはアートスペースのための建築が完成する予定だという。
レバウデンゴは声明で「何世紀にもわたって土の中に埋もれていた、小さな島のさまざまな営みや機能が今、インスピレーションの源になっています」と述べている。「はるか昔、ヴェネチア北部のラグーンと運河を結ぶルートとして世界とつながっていたように、サン・ジャコモ島を出会いと交流の交差点にしたいのです」
「小さい島での私たちの『孤立』は、変換をもたらすアクションです。孤立とは言っても運河の水の移動、旅、出発、到着という言葉の上に成り立っているものです」と彼女は続けた。
レバウデンゴは、1,000点のジュエリー、3,000点の写真に加え、1,500点以上の現代美術作品を所有している。2003年以来、毎年ARTnewsの「トップ200コレクター」にランクインしている。
1995年に設立された彼女の財団は、意欲的に現代アートの展覧会を開催してきたことでその名を知られるようになった。以前はマドリードに展示会場をオープンさせる計画もあったが、2020年、会場の構造的な問題を理由に中止している。(翻訳:平林まき)
※本記事は、米国版ARTnewsに2022年4月25日に掲載されました。元記事はこちら。