ブラッド・ピットも寄贈。ロサンゼルス現代美術館が100点の新収蔵品を発表
ロサンゼルス現代美術館(MOCA)のコレクションに、2023年は63作家100作品が加わったと発表された。
8000点にもなる現代アートコレクションを所蔵するロサンゼルス現代美術館(MOCA)は、2023年、エルズワース・ケリー(リトグラフ5点)、アンセルム・キーファー(ミクストメディア作品2点)、ジェフ・クーンズ(彫刻1点)、レイモン・ペティボン(ドローイング9点)などの著名作家から、ダイアン・セヴリン・グエン(陶芸作品5点)、アリア・ディーン(3Dプリント彫刻1点)、カーリル・ロバート・アーヴィング(陶器1点)、レイチェル・ジョーンズ(幅2.5メートルの絵画1点)といった新進アーティストまで、幅広いジャンルの100点を新たに収蔵した。
新収蔵品にはほかにも、アロンゾ・デイヴィス、シモーネ・フォルティ、ロジェ=エドガー・ジレ、バーバラ・クルーガー、スザンヌ・レイシー、ロバート・モリス、ロバート・オーバービー、ハンナ・ウィルケといった1930~40年代生まれの実績あるアーティストや物故作家の作品も含まれる。その中でも最年長は、2024年に93歳になるロサンゼルス在住のバーバラ・T・スミスで、最年少は28歳になるアリア・ディーンとルイーズ・ジョバネッリの2人だ。
サイズの大きな作品では、故Pope.Lが制作した4.8×13メートルの巨大なアメリカ国旗がたなびく作品《Trinket》(2015)や、2チャンネルのビデオやビデオゲーム、紙にインクとマーカーで描かれた53点のドローイング、ビニール壁紙からなるジャコルビー・サターホワイトの《Reifying Desire 7 - Dawn》(2021-22)がある。また、ヘンリー・テイラーの高さ約3メートルのブロンズ彫刻《Untitled》(2020)は、2023年のMOCAでの個展で展示されたのち、現在はニューヨークのホイットニー美術館に巡回中だ。
著名人や、US版ARTnewsのトップ200コレクターに何年もランクインするような有名コレクターからの寄贈も目立った。マーク・ブラッドフォードの絵画を寄贈したのはブラッド・ピット。ほかにも、ウォーホル財団のジョエル・ワックス理事長はチャニング・ハンセンのミクストメディア・ファイバー作品、ベス・ルーディン・デウッディはカロン・デイヴィスの彫刻、故キャラ・シュレイヤーはアリア・ディーンとロバート・モリスの作品、バック・エリソンのビデオ、モハメド・サミの絵画、ジョシュ・クラインの彫刻を贈った。
また、アート関係者からの寄贈としては、2021年に閉廊したニューヨークの名門ギャラリー、メトロ・ピクチャーズ創設者のジャネル・レイリングとヘリーン・ワイナーから、同ギャラリーに所属していたアイザック・ジュリアンの写真、ロサンゼルスのディーラー、マーク・セルウィンからは、デヴィッド・スミスの紙を支持体にした作品がある。
一方、同館は2023年にラテンアメリカ系のアレクサンドロ・セガデを含むアーティスト集団「マイ・バーバリアン」のビデオと彫刻3点、同じくラテンアメリカ出身で、現在はロサンゼルスを拠点に活動するアナリア・サバンとジル・マルレディの作品を手に入れたが、総人口の48.1%をヒスパニック、ラテン系が占めるロサンゼルスの美術館の新収蔵品としては、ラテンアメリカ系アーティストの作品は少ないと指摘せざるを得ない。さらに言えば、アメリカの先住民をルーツに持つアーティストは、イシ・グリンスキーとディアニ・ホワイト・ホークだけだ。同館の広報担当者によると、美術館は収蔵に際し、アーティストの性別や年齢、居住地といった人口統計データを収集していないが、アーティストが自己申告することはあるという。
MOCAのディレクター、ヨハンナ・バートンは声明の中で、「2023年の収蔵作品は、ロサンゼルスならではの視点をもって、幅広い芸術表現を称賛するという私たちの揺るぎないコミットメントを示しています。これらの作品は、同館のコレクションを豊かにするだけでなく、現代の芸術の輪郭と境界を探求し続けるという私たちの使命を強化するものでもあります」と話す。
それでは以下、ロサンゼルス現代美術館に新収蔵された代表的な作品を紹介しよう。