ピカソのドラ・マールは日本人コレクターが2160万ドルで落札、5月はピカソ、ポロック、モネ、ガストンらがオークションに登場予定~4月のオークション記事まとめ
ARTnewsが4月に報じたオークション情報をまとめてお届けする。サザビーズ香港では4月、パブロ・ピカソのドラ・マールの肖像画が日本人コレクターに2160万ドルで落札された。ピカソは人気が高く、5月にも2作が登場予定だ。NYサザビーズでは「眠れる森の美女」(落札予想価格6000万ドル)が、香港クリスティーズでは故ショーン・コネリーの遺品である銃士の胸像(同1900万)が、セールに掛けられる。ほかに、ジャクソン・ポロックやクロード・モネも売却が予定されている。作家のオークション史上最高額を更新しそうなのは、フィリップ・ガストン(同2000万~3000万ドル)だ。競売はしばしば、資金調達の場になる。ゲノム研究資金調達のために、所有資産からアートを競売に掛けると決めたのはカリフォルニア大学。2月のセールが取り止めになったNFT(非代替性トークン)アートは、融資の担保に使われたのが理由だったと判明した。
ピカソの肖像画は日本人が落札、香港サザビーズ
香港サザビーズの近現代アートセールは4月27日、プレミアム込みで1億6420万ドルを売り上げた。この夜の目玉の一つは、ピカソがミューズの一人ドラ・マールを描いた肖像画(1939年)で、日本人コレクターが1億6940万香港ドル(2160万ドル)で落札した。落札予想価格の1億3800万香港ドル(1760万ドル)を上回り、これまでに香港オークションで売れたピカソの中では史上2番目の高価格を記録した。他に松山智一や加賀温らも落札された。ベトナム人アーティストのル・ポーは落札予想価格の6倍、現在ヴェネチア・ビエンナーレに出品中のルイーズ・ボネは同10倍以上と、オークション取引新記録を打ち立てた作家もいる。
この日はデビアスのブルーダイヤモンドもセールに掛けられた。落札予想価格の4800万ドルを上回る最終価格4億5100万香港ドル(5750万ドル)で、 匿名の電話入札者が手に入れた。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年4月28日に掲載されました。元記事はこちら。
ショーン・コネリーのコレクションからピカソの銃士の胸像が競売に
ピカソは5月26日にも、クリスティーズ香港のオークションに出品される。ピカソがたびたびモチーフにした銃士を描いた作品《Buste d'homme dans un cadre(額縁内の男の胸像)》で、落札予想価格は1900万ドル(1億5000万香港ドル)。元ジェームス・ボンド俳優で2020年に亡くなったショーン・コネリーのコレクションからの販売だ。スペイン出身のピカソは来年が没後50年で、大回顧展なども予定されている。特にアジア地域では人気が高いという。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年4月14日に掲載されました。元記事はこちら。
ピカソの「眠れる森の美女」は落札価格6000万ドルに? NYに登場
ピカソが恋人マリー=テレーズ・ウォルターを描いた肖像画「眠れる森の美女」(1932年)が5月17日、サザビーズニューヨークでオークションに掛けられる。この年は、ピカソにとって最も価値ある年とコレクターたちが見なしており、落札額は6000万ドルに達するかもしれない。この作品を制作した1932年だけで、ピカソは100点以上を制作し、多くはウォルターを描いた。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年4月7日に掲載されました。元記事はこちら。
ポロックのドリップペインティング、4500万ドルと予想
抽象表現主義の画家、ジャクソン・ポロックがドリップペインティングの手法で描いた抽象画《Number 31 》(1949年)が、クリスティーズ・ニューヨークに5月12日に登場する。4500万ドルの値がつくと予想されている。大きさは31×22インチ(約79×約56センチ)。この時期、ポロックは一連のドリップペインティングを制作してキャリアを形成した。この作品は、1967年と98年のニューヨーク近代美術館(MoMA)でのポロック回顧展にも出展された。オークションに先立ち、作品はクリスティーズ・ロサンゼルスで展示中だ。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年4月19日に掲載されました。元記事はこちら。
ナチスに略奪されたモネ、2500万ドルで競売に、相続人と所有者が和解
第二次世界大戦前の1933年に強制的に売りに出されたクロード・モネの作品が、5月12日、クリスティーズNYで競売に掛けられることになった。モネの《La Mare, effet de neige》で、落札価格は1800万~2500万ドルと予想されている。1874年の「第1回印象派展」に出品されたものだ。
モネのこの作品の元の所有者は、ドイツ系ユダヤ人の銀行家リチャード・ゼンメル。ナチス政権に標的にされたためオランダに1933年に亡命し、アムステルダムで約130点の所有アートを競売にかけた。その後、この絵はフランス人の所有物になり、その子孫が現在所有している。ゼンメルの相続人と、現在の所有者であるフランス人家族とで、競売の売却益を分配することで和解したという。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年4月13日に掲載されました。元記事はこちら。
ガストン、3000万ドルでオークション記録更新か?
回顧展が今月ボストンで開かれるフィリップ・ガストンが、5月17日のオークションで個人の最高値記録を更新する可能性が出てきた。1958年の抽象画《Nile》で、ガストンが具象から抽象へと移行した時期の作品。慈善家が40年間所有していた。サザビーズNYでの落札予想価格は2000万~3000万ドル。オークションの見積額としては、ガストン作品では最高値となっている。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年4月4日に掲載されました。元記事はこちら。
故ディーラー夫妻の戦後名画コレクション100点、クリスティーズが販売
スイス人ディーラーの故・トーマス&ドリス・アマン夫妻のコレクションが、ニューヨークでオークションに掛けられる。クリスティーズは、すでに発表したウォーホルのマリリン・モンローの肖像画(予想落札価格2億ドル)以外の、夫婦の戦後名画コレクション約100点を、5月9日のニューヨークでのセールで販売すると発表した。中には、1000万~1500万ドルと予想されるトゥオンブリー作品《Venere Sopra Gaeta》(1988年)や、1500万~2000万ドル予想のウォーホルの1964年のシルクスクリーン《花》もある。
アマン夫妻は、1977年にスイスにギャラリー「トーマス・アマン・ファインアート」を設立し、米国のアーティストをヨーロッパのコレクターに紹介したことで知られる。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年4月6日に掲載されました。元記事はこちら。
ゲノム研究資金のためアートを競売に、カリフォルニア大
カリフォルニア大学は、ゲノム研究プログラムの資金調達のため、寄付されたケリー・ジェームズ・マーシャルの絵画《Beauty Examined》 (1993年)をオークションに掛ける。5月19日に開かれるサザビーズNYで販売され、落札予想は800万~1200万ドル。この作品は、片方の腕の肉と骨が見えており、解剖学的な研究を暗示している。マーシャルは、ジャン=ミシェル・バスキア、マーク・ブラッドフォードらと並び、オークションで1000万ドル以上で落札された、数少ない黒人現代アーティストの一人だ。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年4月13日に掲載されました。元記事はこちら。
オークションを引き揚げたクリプトパンクス、融資の担保になっていた!
サザビーズで2月に単一ロットとしてオークションに掛けられるはずだったNFTアート「クリプトパンクス」の突然の販売中止、引き揚げの理由が明らかになった。クリプトパンクス104枚1セットは、匿名の所有者によって830万ドルの融資の担保として使われていた。クリプトパンクスは人気が高く、数百万ドルで取り引きされることもあるNFTだ。ただし暗号資産は価格変動も大きい。今回の融資は、NFT担保融資市場であるNFTfiと、NFTの流動性リスク管理企業MetaStreetにより実現されたという。NFTを担保にした多額の融資は今回が初めてではないが、明らかに過去最大の規模という。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年4月20日に掲載されました。元記事はこちら。