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  • 2024.02.02

サザビーズが手数料の引き下げと簡素化を発表。オークション界の複雑な価格システムの「賢い破壊」に挑む

サザビーズは、2024年5月20日から美術品や高級品のオークションに関する、買い手と売り手双方の手数料体系を大幅に変更し、簡素化すると発表した。

2004年6月10日、ニューヨークのサザビーズで開催されたキャサリン・ヘプバーンのオークションで、入札サインを掲げる入札者。Pjoto: Stephen Chernin/Getty Images

サザビーズではこれまで、オークション落札者が支払う手数料にあたる「バイヤーズ・プレミアム」は、予想落札額が100万ドル(1億4600万円)以下の作品はハンマープライスの26%、予想落札額100万ドルから450万ドルの作品は20%、それ以上は一律13.9%だった。

それが今回の改革で簡素化され、ハンマープライスが600万ドル(約8億7800万円)までの作品のバイヤーズ・プレミアムは20%、それ以上は10%となる。サザビーズによれば、この新体制により、価格帯に限らずほとんどのロットが26%の支払額削減になるという。1975年にバイヤーズ・プレミアムを導入して以来、初の見直しとなる

チャールズ・スチュワート、サザビーズ最高経営責任者はUS版ARTnewsの取材に対して、「これらの変更は、私たちが長い間考えてきたことです。アート市場において、公平で明確なルールがあるのは良いことです。これは一種の成長の瞬間です。アート界の成熟への一歩なのです」と語った。

スチュワートは、この変化をアート市場においての「賢い破壊」であり、売り手が作品の最高価格を実現する方法について相談するのではなく、手数料を巡る交渉に固執するようになった「オーダーメイドの価格設定構造」からの脱却であるとしている。

また、サザビーズは今回の改革で売り手の手数料も大きく変える。最低予想落札価格500万ドル(約7億3000万円)以下の作品に対しては1ロットあたりのハンマープライスのうち最初の50万ドルに対して一律10%の手数料が導入される。500万ドルから2000万ドル(約7億3000万円から約29億円)の場合、手数料は免除され、2000万ドルから5000万ドル(約29億円から約73億円)の場合は手数料の免除の上に、買い手が支払ったバイヤーズ・プレミアムの40%を貰えることになる。

サザビーズはまた、全セールスに対して1%の事務手数料を売り手に課していた「オーバーヘッド・プレミアム」を廃止し、作品が最高予想落額を上回ったロットに対して2%の「成功報酬」を支払う。そして作品がオークションハウスまたは第三者によって保証されている場合、保証額の4%の固定保証委託料を請求するという。

今回の改革についてスチュワートは、「ほとんどのジャンルのマーケットは、取引条件を見れば非常に明確です。複雑である必要はないのです」とコメントした。(翻訳:編集部)

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