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  • 2024.02.06

ビートルズが日本のホテルで描いた絵画が約2億円で落札! 作品中央にはテーブルランプの痕跡

ビートルズが1966年に来日した際にメンバー4人で制作した絵画作品《Images of a Woman on Paper》が、クリスティーズのオークションで落札された。およそ2億円で取引されたこの作品は、日本政府が彼らの安全を確保するために用意していた東京ヒルトンホテルの一室で描かれたという。

オークションで落札されたビートルズの作品には、メンバーのサインも中央に書かれている。Courtesy of Christies

ビートルズの曲を全く聞いたことがないという人は少ないだろうが、彼らが優れたミュージシャンであるだけでなくビジュアルアーティストでもあったと聞いてピンとくる人はどれだけいるだろう。しかし最近、彼らの類まれなる創造性が音楽の分野だけでなく美術にも及んでいたことを裏付ける出来事があった。メンバー4人によって制作されたサイン入りの絵画作品が、クリスティーズのオークションに出品され、高額落札されたのだ。

《Images of a Woman on Paper》(1966)と題されたこの作品は、60万ドル(約8920万円)という予想額のおよそ3倍となる170万ドル(手数料込み、約2億5300万円)もの値が付いたのだ。

アクリルと水彩絵の具が使われた本作は、ジョン・レノンとポール・マッカートニー、リンゴ・スター、そしてジョージ・ハリスンの4人が、1966年6月29日から7月3日までの100時間にわたり、宿泊先のホテルから出られなかったときに共同で制作したもの。当時彼らは日本武道館でのライブのために来日していたのだが、予定されていた5公演の合間、彼らの安全を気遣う日本政府の配慮によって、ヒルトン東京のプレジデンシャルスイートに匿われていたのだという。この作品は、2日間にわたって制作された。

彼らが滞在していた豪華な部屋を訪れた客の中には、4人がこの絵を描くために使う質の高い画材をプレゼントした人もいた。

当時ビートルズのカメラマンを務めていたロバート・ウィテカーが撮影した写真には、テーブルを囲んで椅子に座って絵の制作に取り組むメンバーの姿が収められている。また、紙を押さえつけるための重しとしてテーブルランプが使われたことから、作品の中心には円の形をした空白が残されている。

実はビートルズのメンバーは全員、過去に音楽以外の芸術活動を行った経験がある。レノンにおいては美術専門学校に3年ほど通い、「超高速で描いた風刺画」を含む作品集を2冊も発表したほどだ。

「彼らは何を描いているのか話すことなく、ごく自然に作品ができあがっていきました」と、ウィテカーはのちに振り返っている。

ウィテカーは、メンバーが絵画以外のアート作品を来日時に制作していた様子もカメラに収めているが、クリスティーズの作品紹介文には、「《Images of a Woman on Paper》は、ビートルズとして4人がともに活動していた時代に作られた唯一のアート作品として知られています。これ以上にない来歴をもつ、特別でユニークな作品となっています」と記されている

この作品は当初、日本のビートルズ・ファン・クラブを運営していた下山鉄三郎に譲渡されたが、1989年にはレコードショップの経営者が購入。彼はこの作品をベッドの下に長いこと保管していたが、2012年に、フィリップ・ワイス・オークションに出品を委託していた。今回のクリスティーズでの取引は、ビートルズのアンティークグッズを販売するTracksと共同で行われた。(翻訳:編集部)

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