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ユガ・ラボがNFT制作会社PROOFを買収。メタバースゲーム「Otherside」のコンテンツ強化を加速

ボアード・エイプ・ヨット・クラブ(BAYC)をはじめとするNFTコレクションを手がけるユガ・ラボが、NFT制作会社PROOFの買収を発表した。

ユガ・ラボはPROOFを買収することで、メタバース・プラットフォーム「Otherside」上のコンテンツ強化を図ろうとしている。Photo: Rafael Henrique/Sopa Images/Lightrocket via Getty Images

分散型自律組織(DAO)を運営するライフスタイル企業であり、非代替性トークン(NFT)コレクションのボアード・エイプ・ヨット・クラブ(BAYC)を手がけるユガ・ラボ(Yuga Labs)が、PFP(プルーフピクチャー)と呼ばれるNFTのプロフィール画像「Moonbirds」を手がけたことで知られるNFT制作会社PROOFの買収を発表した。

これにより、PROOFの制作チームと知的財産権がユガ・ラボに渡る。NFT「Oddities」やPFP「Mythics」、オンライン展示イベント「Grails」で発表された作品のポートフォリオの所有権も今回の買収に含まれるという。

BAYCのほかにもユガ・ラボは、メタバースゲーム「Otherside」やNFTシリーズ「TwelveFold」を手がけ、「Meebits」や「CryptoPunks」「10KTF」といったNFTブランドを運営している。MeebitsとCryptoPunksは、2022年にLarva Labsから買収したブランドだ。

「アートや文化、コミュニティをブロックチェーン上で耕すことにコミットしている企業としてPROOFが私たちのエコシステムに参加してくれることは、とても喜ばしいことです」

ユガ・ラボのCEOを務めるダニエル・アレグレは声明でこう語る。「Moonbirdsは大きな可能性を秘めたコレクションであり、Othersideとの親和性も高い。PROOFがアートとそのコミュニティへの貢献において、重要な役割を担ってくれることを私たちは楽しみにしています」

PROOFは、ペース・ギャラリーが手がけるNFTマーケットプレイス、Pace Versoと共同で、物理学やテクノロジー的アプローチを用いて作品を制作するミカ・タジマのNFTプロジェクト《Archive of Feelings》を過去に手がけた。このプロジェクトの土台となったのは、タジマが過去に手がけた大規模なインスタレーションだ。

PROOFのCEO兼創業者のケビン・ローズは、買収に関して次のように声明を発表している。

「ユガ・ラボの顧問になる前に短い引き継ぎ期間に入りますが、二つの会社が合わさることでより革新的になり、多くの人々に作品を見てもらう機会が増えることでしょう」

一方、ユガ・ラボはアメリカで働く従業員のレイオフを2023年10月に発表したばかりだ。アレグレはその際に、「Othersideに全力を注ぎ、重要なプロジェクトに数を絞って取り組まなければならない」と全社メールに記している。

デジタル通貨を専門に扱うウェブメディア、The Blockによると、代表的なPROOFのNFTコレクションMoonbirdsの取引額は2022年4月の5億ドル(約752億円)から減少し、毎月の販売額は常に500万ドル(約7億5200万円)を下回っていたという

ユガ・ラボの広報担当によると、今回の買収はすべての株式がユガ・ラボに移り、およそ15人のPROOFの従業員が異動してくるというが、詳細な内容は明かされなかった。また、PROOFもコメントには応じていない。(翻訳:編集部)

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