エーゲ海に沈んだ古代の沈没船10隻を発見。最古の船は紀元前3000年前
ギリシャ・カソス島沖の海底で、難破船10隻の残骸が発見された。ヘリテージ・デイリー誌が伝えるところによると、数千年前の先史時代以降、周辺で様々な国家が栄えた各時代に沈んだ船と見られる。
エーゲ海南東部で発見されたのは、スペイン、イタリア、アフリカ、トルコ沿岸からの物資を運んだ船と考えられている。最も古いものは紀元前3000年にさかのぼり、古代ギリシャ、古代ローマ、ビザンチン帝国から中世、オスマン帝国時代の沈没船もある。
この海域では2019年から4年にわたり、国立研究財団がギリシャ文化省と共同で潜水調査を行っていた。その結果、ローマ時代の陶磁器、スペインのアンフォラ(取手の付いた首の長い壺)、アルカイック期ギリシャ(紀元前800~480年頃)の石でできた錨など数多くの遺物を発見・回収する成果を上げている。
これに加え、考古学研究チームは海中で2万枚を超える写真を撮影。その画像を用いてデジタルで船を再現し、さらに研究を深めることが可能になった。
ギリシャ文化省は声明でこう述べている。
「潜水調査と同時に、サイドスキャンソナーを使った海底面調査が初めて実施され、カソス島とカルパトス島の間にある岩礁や周辺海域のマッピングと水深測定を行った」
なお、トルコのデイリー・サバ紙によると、沈没船の調査と発見を追ったドキュメンタリー映画の制作が進行中だという。(翻訳:石井佳子)
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