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  • 2024.06.14

今週末に見たいアートイベントTOP5: 金沢21世紀美術館の20周年記念展、木下佳通代の鮮烈な創作人生を振り返る

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

ポップ・アップ・アート コレクションとパフォーマンスを楽しむ(金沢21世紀美術館)より、ローリー・シモンズ《悔恨のミュージック》2005-2006

1. ポップ・アップ・アート コレクションとパフォーマンスを楽しむ(金沢21世紀美術館)

サラ・ジー《喪失の美学》2004

オープンスペースを会場に12作家の所蔵品を紹介

金沢21世紀美術館は今年で20周年を迎える。それを記念し、同館のコレクションから須田悦弘ライアン・ガンダー、サラ・ジー、ローリー・シモンズら12組の作家による作品やパフォーマンスを館内の公共空間で紹介する。自然光が溢れ、水平に伸びやかに広がる空間を観客が周回する間に作品が次々と目の前に「ポップアップ」するように配置をした。

敷地内にあるプロジェクト工房では、テクノロジー、環境、人間性の探究といったテーマに取り組むヤノベケンジの作品群を紹介。また、エントランスでは、期間中の6月16日(日)までイタリア人アーティスト、パトリック・トゥットフオコの体験型作品《バイサークル》に乗って、館内を探検するイベントも開催されている。

ポップ・アップ・アート コレクションとパフォーマンスを楽しむ
会期:4月6日(土)~ 7月15日(月・祝)
会場:金沢21世紀美術館 交流ゾーン(石川県金沢市広坂1-2-1)
時間:10:00 ~18:00
休館日:会期中無休

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2. 後藤夢乃 × 山中雪乃 二人展「Lux」(Lurf MUSEUM)

展示風景

2作家問う絵画と鑑賞者の境界線

光や輝きを象徴し、その中に潜む多様な可能性を秘めた作家に焦点を当てたシリーズ展「Lux」。第1回目となる本展では、物質と情報の境界を曖昧にし、人体を通して独創的な世界を表現する後藤夢乃と山中雪乃による作品世界を紹介する。

後藤は、光と陰の画風の中で、精神的な世界を結びつけ絵画世界と現実世界の境界線をはっきりさせないことで鑑賞者に深い奥行きを与える。一方の山中は、差し込む光線のようにも見える空白の中で、人物のディテールをあえて書き込まず抽象度を高める事で人間性を超えた存在を表現する。境界線と空白が溶け合い、鑑賞者に物体的な存在と精神的な存在の間での想像を呼び起こす2人の作品が会場で共鳴し、鑑賞者に新しい視点と深いインスピレーションをもたらすだろう。

後藤夢乃 + 山中雪乃 「Lux」
会期:5月17日(金)~ 6月23日(日)
会場:Lurf MUSEUM(東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob1 1・2F)
時間:11:00 ~19:00
休館日:不定休


3. 没後30年 木下佳通代 (大阪中之島美術館)

木下佳通代《'86-CA323》1986年 北川貞大氏蔵(大阪中之島美術館寄託)

木下佳通代の短くも鮮烈な作家人生を振り返る

神戸に生まれ、関西を拠点に活動した作家、木下佳通代(1939-1994)の日本の美術館で初となる個展。木下は1960年代、前衛美術の集団「グループ〈位〉」の活動に携わったことからキャリアをスタートさせた。70年代には、写真を用いながらイメージと知覚、物質の関係を考察する作品を数多く手がけ、ヨーロッパで高い評価を得た。80年代には、抽象絵画へと表現の軸足を移す。一筆ごと、自らの感覚を鋭く問いながら作り出された抽象画は高い緊張感を備えており、彼女の表現の集大成と言われている。

本展では、木下のキャリアを3つの章に分けて辿る。94年に55歳で亡くなるまで、生涯で1200点以上の作品を制作した木下の作品の中から、絵画作品のシリーズを中心に94年の絶筆までを展示する。新たな調査で明らかになった最大規模の絵画作品も初公開する。また、関連イベントでは記念講演のほか、上映会や担当芸員によるギャラリートークも予定されている。

没後30年 木下佳通代
会期:5月25日(土)~ 8月11日(日)
会場:大阪中之島美術館(大阪府大阪市北区中之島4-3-1)
時間:10:00 ~17:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜(7月15日、8月12日は除く)


4. Group Exhibition “BOLMETEUS ボルメテウス” Curated by CON_(SAI)

オーラを構築するSNS時代の新たなアート

著しい文化成長を遂げる現代で、視覚とその奥行きにユニーク性をもって発展し続けているSNS 。作家らは生活する場所や環境は異なるが、制作活動においてデジタルメディア上で共有される何かに影響を受けるという共通項があり、それは特有のオーラとしてのテクスチャーに進化している。

本展は、画像をはじめとする視覚的イメージと空間構成をテーマに作品を制作する13人のアーティストを集めた。参加するのは、国内を代表する若手現代美術家の梅沢和木をはじめ、イギリス出身アーティストのベン・エドマンズ、バレンシアガやGentle Monsterへの作品提供も記憶に新しい池内 啓人、ロードキル(道路上で起きる野生動物の事故)や、自然の原因で命を落とした鳥の剥製を作品に使用するハンナ・アントンソンなど。時代の順応とも反抗ともみられるオンラインベース思想やフィジカルな表現から形成される本展は、カオス化する「現代アート」を紐解くヒントになるかもしれない。

Group Exhibition “BOLMETEUS ボルメテウス” Curated by CON_
会期:6月1日(土)~ 6 月23日(日)
会場:SAI(東京都渋谷区神宮前6-20-10 )
時間:11:00 ~20:00
休館日:無休


5. 第一回 Pages | Fukuoka Art Book Fair(太宰府天満宮)

約100組がアートブックやZINEを販売

独創的なアートブックやZINEを制作する出版社、アーティスト、デザイナー、ギャラリー、書店など約100組が国内外から一堂に集まり、それぞれが本の魅力を伝えるイベント。本の販売のほかにも、展示やトークイベント、ワークショップなどさまざまなプログラムを用意している。新たな才能やアートブックとの出会いの場を作り出し、アート出版の文化、多様性のあるコミュニティがより豊かに発展する機会の創出を目指している。

福岡のアート・カルチャーシーンを牽引するON AIRは、余香殿にあるステージ全体を使い、特設ブースからインターネットラジオ(((RADIO COCONUT)))を生配信するほか、オリジナルのヴィジュアルブックや国内外からセレクトした書籍を展示販売。また、展示期間中には、福岡及び近隣地域の書店、ギャラリー、ショップ、飲食店などを紹介する企画「フレンズ」を開催。アートブックのみならず、ローカルのアート、カルチャー、ファッション、音楽、食などの魅力を発信する。ブックフェアと合わせて「フレンズ」巡りも楽しもう。

第一回 Pages | Fukuoka Art Book Fair 
会期:6月14日(金)~ 6月16日(日)
会場:太宰府天満宮 文書館・余香殿(福岡県太宰府市宰府4-7-1)
時間:6月15・16日10:00 ~ 17:00(14日は12:00から)

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