クリスティーズが分割払いシステムを導入。対象は約1億円までの作品で、最大10回払いが可能に
アート作品の分割払いシステムを提供するオーストラリアのスタートアップ、Art Moneyがクリスティーズに採用される。これにより、「コレクターたちは自身をもって入札できるようになる」と同社は発表している。
クリスティーズの企業ベンチャー部門から資金援助を受けているオーストラリアのフィンテック企業、Art Moneyのサービスがクリスティーズで利用可能になったことが発表された。広報担当者によると、これによりクリスティーズで購入した最高100万ドル(約1億5400万円)までの作品を、最大10回に分割して支払いできるローンを組むことができるようになる。
このサービスは、4月16日にニューヨークで開催されるクリスティーズの版画とプリント専門のオークションから正式に提供が始まる。
Art Moneyを介してローンを組むためには、コレクターたちはArt Moneyに与信額を伝え、簡単な信用調査を行ったのちに承認を得ることになる。承認を得た落札者は、クリスティーズから届いた請求書をArt Moneyに送信し、購入を確定させる。その後、オークションハウスと委託者が支払いを受けた後に作品が納品され、分割払いが始まるという仕組みだ。
Art Moneyは、最終的な作品価格(オークションハウスの手数料とバイヤーズ・プレミアムを含む)の最大10%を手数料として月ごとの支払いに分散して請求する。例えば、1万ドルの作品を落札した場合、コレクターの支払額は、Art Moneyへの手数料10%を合わせた合計1万1000ドルとなる。
2014年に創業され、2016年に開催された現代アートフェア「EXPO CHICAGO」で正式にローンチしたArt Moneyは、同年末にニュー・アート・ディーラーズ・アライアンス・マイアミ(NADAマイアミ)とパートナーシップを締結している。また、同社のウェブサイトによると、アナト・エブギ・ギャラリーやヴァリアス・スモール・フィアイアズ、ザ・ホール、そしてギャルリー・ルロンをはじめとする小規模ながらも勢いのある2000のギャラリーと協力体制を築いているという。
この融資サービスは、5月開催の版画とマルチプルを扱うクリスティーズのイブニング・セールを皮切りに、今後のオークションでも利用可能になる予定だ。このイブニング・セールでは、パブロ・ピカソのエッチング《Femme nue à la guitare from Le Siège de Jérusalem: Grande tentation céleste de Saint Matorele 》(1913)が出品される予定で、予想落札価格は2000〜3000ドル(約31万〜46万円)。ほかにも、アンリ・マティスの版画集《Jazz》(1947)には60万〜80万ドル(約9224万〜1億2300万円)、そしてブライス・マーデンが1961年に制作したエッチングは6000〜8000ドル(約92万〜123万円)の予想落札価格がそれぞれ設定されている。(翻訳:編集部)
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