寺田倉庫が今夏京都にレンタルアトリエと美術品保管庫をオープン。アートコミュニティの交流を促進
寺田倉庫は、2024年夏に京都市立芸術大学内にレンタルアトリエと美術品保管庫を備えたアート複合施設をオープンさせる。同校の周辺は近年アート施設が集積しており、寺田倉庫の2施設が加わることにより、京都にアートの一大拠点が誕生する。
寺田倉庫が2024年夏にアート複合施設をオープンする京都市立芸術大学は、1880年設立の京都府画学校を起源に持つ日本で最も歴史がある美術大学で、1980年開設の沓掛キャンパスが老朽化したため、2023年10月にJR京都駅北東側区域に移転した。現在、美術と音楽の2学部と大学院を合わせて約1000人が学んでいる。
新校舎はJR、地下鉄京都駅から徒歩6分という好立地。移転にともなって市内にあった同校のサテライトギャラリー「@KCUA」が敷地内にリニューアルオープンしたほか、付近では、ペース・ギャラリーのCEOらとローレン・パウエル・ジョブズ率いる社会活動団体「エマーソン・コレクティブ」が設立した、体験型アートに特化した新事業「Superblue」による「チームラボ」の美術館が2024年中に開業を予定しており、新しい表現を実験するアート拠点としての発展も期待できるエリアだ。
寺田倉庫が京都市立芸術大学の敷地内に設置するのは、レンタルアトリエ 「TERRADA ART STUDIO 京都」と、美術品保管庫 「TERRADA ART STORAGE 京都」。京都には多くの芸術教育機関があり、卒業後も京都を拠点に活動するアーティストが多い。「TERRADA ART STORAGE 京都」は、こうしたアーティストたちの作品保管のほか、コレクターやアートファンにもサービスを開放し、アート作品の発表や流通を支える役割を果たすべく開設に至った。施設内には交流スペースも設け、アーティストやアートファン同士がつながりを深められるような企画を提供する予定という。また、周辺のアート施設と連携する計画もある。
寺田倉庫は、東京・天王洲を拠点に1970年代から美術品の保管事業を展開しており、1980年代からは周辺企業や地域住民と協力してアートによるまちづくりを推進してきた。近年では、倉庫建物をリノベーションして、ミュージアムやアトリエ、ギャラリーコンプレックスを運営するほか、国際アートフェアとの連動イベントを開催。さらに、新進アーティストの発掘を目的とした現代アートアワード「TERRADA ART AWARD」の開催や、若手アーティストの作品を展示・販売する「WHAT CAFE」の運営などのアーティストのキャリア形成を支援する活動にも力を入れている。
寺田倉庫は今回の京都進出により、これまで培ってきたノウハウを活かし、京都市立芸術大学をはじめとした大学や研究機関、地域との連携を強化し、また、京都で活動するアーティストを支援することで日本のアート市場の活性化に貢献したいという。