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  • 2024.04.30

50億円のクリムト作品に波乱? オークション終了後に新たな登場人物が所有権を主張

4月25日、グスタフ・クリムト(1862-1918)の最晩年の肖像画《リーザー嬢の肖像》(1917)がオーストリアのオークションハウス、イム・キンスキーで3200万ドル(約50億円)で落札された。これにより、同国のオークション史上最高額を更新したが、その後、この肖像画の所有権を主張する人物が現れた。

グスタフ・クリムト《リーザー嬢の肖像》(1917)Photo: Courtesy Im Kinsky, Vienna

グスタフ・クリムト《リーザー嬢の肖像》(1917)は、クリムトが脳卒中で亡くなる1年前の1917年に制作を開始した。2007年と2012年に発行されたクリムトの作品図録によると、この肖像画のモデルは、実業家アドルフ・リーザーの当時18歳だった娘マルガレーテ・コンスタンツ・リーザー(1899-1965)とされているが、ウィーンにあるオークションハウス、イム・キンスキーが行った新たな調査によると、リリー・リーザーの名前でも知られたアドルフの義理の妹で芸術家のパトロンだったヘンリエッテ・アマリー・リーザー=ランダウとユストゥス・リーザーの長女、ヘレーネ・リーザー(1898-1962)か、その次女、アニー・リーザー(1901-1972)の可能性が高いという。

この作品は未完だったが、クリムトの死後、リーザー家に贈られた。その後、リーザー家はナチスのユダヤ人排斥法により迫害され、ヘンリエッテはリガのゲットーに送られて1943年にそこで殺された。《リーザー嬢の肖像》は1925年以降、数十年間行方不明となっており、イム・キンスキーによれば、1960年代にリーザー家の法定相続人が取得し、その後3代にわたって受け継がれてきたという。

4月25日、イム・キンスキーで《リーザー嬢の肖像》のオークションが行われ、香港の匿名のコレクターが予想最低価格の3200万ドル(約50億円)で落札し、オーストリアでのオークション史上、最高額となった。この肖像画は、イム・キンスキーのウェブサイトに掲載されたステートメントでも「これほどの希少性、芸術的意義、価値を持つ絵画は、中欧の美術市場では過去何十年も出てこなかった」と称される名画。買い手候補は3人いたと言われているが、そのうち2人が午後遅くに入札を取り下げた。落札者たちはおそらく、肖像画の来歴の空白期間を恐れたのかもしれない。

その懸念は的中する形となった。このオークションを知ったミュンヘンを拠点とする建築家である人物が肖像画の所有権を主張し、クレームを申し立てたのだ。この人物の叔母は、1960年からマルガレーテ・コンスタンツェ・リーザーの弟ハンスと結婚していたという。

デア・スタンダード紙によれば、この肖像画が親族のもとに返還され、財産が分与されるにあたっての契約はオークションハウスと売主、そしてアドルフ・リーザーとヘンリエッテ・リーザーの相続人たちのみと結ばれていた。通常、相続人はオークションハウスに絵画を譲渡することが、すべての法定相続人の意思であることを宣言することになっている。さらなる受益者が現れた場合は、家族内で明確にしなければならない。ドイツのニュースメディアが双方の相続人の弁護士に取材したところ、次のステップについては依頼人と協議するという回答だけだった。

コレクターの代理で今回の落札を行った、香港を拠点とするアートアドバイザーのパティ・ウォンは、サウスチャイナ・モーニング・ポストの取材に対し、「売主とリーザー家の相続人全員が、オークションハウスとの契約によってカバーされることが保証されています」と語っている。(翻訳:編集部)

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