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セネガルのダカール・ビエンナーレが開幕直前で延期に。混迷を極めた大統領選の影響か

アフリカのアーティストを世界に紹介してきたダカール・ビエンナーレの延期が決まった。3月末に行われた大統領選の混乱による影響と見られる。

2022年に開催された第14回ダカール・ビエンナーレの展示風景。現代アートを街角に展示することで、芸術を身近なものにすることを目指すドクサントゥ・プロジェクトには、彫刻やインスタレーションをはじめとする17の作品をオープンスペースに展示した。Photo; Anadolu Agency via Getty Images

セネガルの文化省は、5月16日から首都ダカールで開催予定の第15回ダカール・ビエンナーレを11月に延期すると発表した。この決定は、「国内および国際的な状況が影響していると同時に、新たに就任した当局の担当者が芸術祭を最も適した条件下で開催することを望んでいる」ためという。新しい会期は11月7日〜12月7日。

開幕直前に発表された会期の変更は、緊迫した政治情勢の影響を受けてビエンナーレの準備が滞っているのではないかという噂を裏付けるものとなった。アートを専門に扱うフランスの日刊紙『Le Quotidien de l’Art』によると、パレ・ド・ジュスティス内に設けられた「取り扱う作品の輸送部門」は、開幕を3カ月前に控えた2月時点で実作業に着手していなかったという

セネガルでは、3月24日に大統領選が実施され、4月2日にバシル・ジョマイ・ファイが新大統領に就任したばかり。この選挙は、前任のマッキー・サルが選挙を延期したことによりデモが勃発、緊迫した状況で行われ、西アフリカにおける民主主義が一時的に危ぶまれたほどだ。

ダカール・ビエンナーレは創設当初から、その規模とアフリカ大陸全域における現代アートシーンへの献身的な取り組みから、世界的にも重要なビエンナーレと捉えられてきた。イブラヒム・マハマやエモ・デ・メデイロス(Emo de Medeiros)、ネンナ・オコレ(Nnenna Okore)といったアーティストは、この芸術祭から世界的な認知につながった。新型コロナウイルス感染症による中断を経て4年ぶりに開催された2022年の第14回ビエンナーレには、様々な関係者が各国から押し寄せ、400以上の展示スペースがサテライト会場として登録されるなど、内容も盛りだくさんだった。

今年のビエンナーレのキュレーターを務めるのは、サリマタ・ディオップ。「The Wake(目覚め)」と題されたテーマは、セネガルの首都ダカールに焦点を当てており、現在進行中のさまざまな「政治的、生態学的、社会的」な変容を呼び起こすものだという。12月までには58のアーティストによる作品が展示される見通しだ。(翻訳:編集部)

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