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西條茜のBLUM所属が決定! 所属後初の展覧会は、石川順惠との二人展

ロサンゼルス、ニューヨーク、東京に拠点を構えるギャラリーBLUMに、陶芸と現代美術の両領域で創作活動を行うアーティスト、西條茜が所属することが発表された。現在同ギャラリーでは、西條と画家の石川順惠の2人展を開催中だ。

⻄條茜  2024 © Akane Saijo; Courtesy of the artist and BLUM Los Angeles, Tokyo, New York

西條茜は、1989年兵庫県生まれ。2014年に京都市立芸術大学大学院美術研究科工芸専攻陶磁器分野を修了し、以来、「芸術か工芸か」という問題にとらわれることなく、陶芸と現代美術の両領域を繋ぐような作品を制作してきた。

西條が学んだ京都市立芸術大学の陶磁器専攻は「走泥社」の創立メンバーであった八木一夫や鈴木治がかつて教鞭を執っていたことでも知られる。西條の在学時にも専攻内には彼らの影響が少なからず残っており、そういった環境も相まって陶彫を作り始めたという。そうして自らの手で粘土を扱い、さまざまな伝統的技法を組み合わせて作品を構築していく中で、彼女が注目したのは「虚構」という概念。その背景を、彼女はかつてARTnews JAPANにこう語っている

「陶芸と向き合う中で、焼き物特有の表面と構造に疑問が湧いてきて。表面は、焼き方や釉薬の調合によって、みずみずしい感じ、鉄が朽ちたような感じ、また石が乾いた感じなど、さまざまな質感や表情が出せる。それに対して、内側というと、爆発を防ぐために空洞にしなければいけない。どんなに表現性が豊かな表面であっても、その内側には空虚な空間が包み隠されている。良い意味でも悪い意味でも、陶磁器というものが、どこか虚構の造形のように思えてきたんです。その表面と空洞のギャップへの関心が私の創作のベースにあるもののひとつです」

⽯川順惠、⻄條茜 Blum 東京での展⽰⾵景画像、2024年 © Yukie Ishikawa, Akane Saijo; Courtesy of the artist and BLUM Los Angeles, Tokyo, New York Photo: SAIKI

それを象徴しているのが、2019年に発表された《コキイユ》をはじめとする内部の空洞へ息を吹き込み音を発生させる作品だ。また2020年からは、声や息を用いたサウンドアーティストのバロンタン・ガブリエとユニット「TŌBOE」を組み、身体的なアプローチを深めながらパフォーマンスにも挑んでいる。

彼女のBLUM所属後初の展覧会は、1961年生まれで埼玉在住の画家、石川順惠との2人展。30歳近い年齢差のある西條と石川は、創作を通して文化的な規範や伝統的なメディウムの使い方を覆そうとしているという共通点を持つ。

⽯川順惠、⻄條茜 Blum 東京での展⽰⾵景画像、2024年 © Yukie Ishikawa, Akane Saijo; Courtesy of the artist and BLUM Los Angeles, Tokyo, New York Photo: SAIKI

石川は、1980年代後半から90年代にかけて、日本の消費主義社会に対する批評として絵画制作を始めた。雑誌の広告など様々な印刷物のイメージを拡大し、キャンバスに投影、トレースすることで、元のイメージとは離れた抽象的なフォルムを作り出している。本展では、カップヌードルやスパゲッティの広告の要素を取り入れた1990年代の作品に2008年に加筆した2点《IMPERMANENCE 2009》(2009)、《IMPERMANENCE 10》(2008)を展示。また、石川が2023年に開始した、十五夜に月が昇るのを待ちながら、上空を見つめる人々の憧れを表現した「月白」シリーズを初披露する。

⽯川順惠、⻄條茜 Blum 東京での展⽰⾵景画像、2024年 © Yukie Ishikawa, Akane Saijo; Courtesy of the artist and BLUM Los Angeles, Tokyo, New York Photo: SAIKI

対して西條は、彼女の複雑な陶芸作品に重要な影響を与えたものとして挙げている、人と物の間にあり、それぞれを異なるものに変える極小の空間を意味するマルセル・デュシャンによる「アンフラマンス」の概念を掘り下げ、誇張した陶作品などを展示する。また2025年には、丸亀市猪熊源一郎美術館で個展を開催予定だ。

石川順惠、西條茜
会期:5月18日(土)~ 6月22日(土)
会場:BLUM(東京都渋谷区神宮前1丁目14-34-5F)
時間:12:00 ~18:00
休館日:日月祝

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