284億円足りない! ポンピドゥー・センターが2025年末開始の改修をめぐり資金調達に奔走
フランスの財政を握る会計検査院は、ポンピドゥー・センターのビジネスモデルが持続不可能であると否定的な報告書を4月に発表し、2025年から行われる改修工事に必要な予算が増え続けていると指摘した。改修工事を行うために必要な284億円を集めるべく同館の運営陣は、アメリカやサウジアラビアから資金を集めようと画策しているようだ。
5年計画で進めているパリのポンピドゥー・センターの改修が2025年末から始まろうとしているなか、改修工事の実行可能性をめぐる新たな金銭面での疑問が浮上している。
というのも、フランス会計検査院はポンピドゥー・センターのビジネスモデルが持続不可能であるという批判的な報告書を4月末に発表しており、近々予定されている改修工事と、フランスのマシーに新たな保管・展示スペースを建設することによる美術館の財政負担について概説している。
この報告書は、改修プロジェクトが始まって以来、出費が増え続けていることを指摘。改修工事には3億5800万ユーロ(約606億3000万円)の費用がかかると会計監査院は見積もっており、当初フランス政府が見積もった2億6200万ユーロ(約443億7100万円)より1億ユーロ(約170億円)近く高い。この差額を補うために、同館の館長を務めるローラン・ル・ボンは、スポンサーに2億700万ユーロ(350億6000万円)の追加費用を要請している。
会計検査院によると、ポンピドゥ・センターは遅くとも2025年初めまでに資金を調達しなければならない。 現時点で3900万ユーロ(約66億580万円)を調達しており、そのうちの2000万ユーロ(33億8700万円)はソウルのハンファ文化財団による出資だという。残りの1億6800万ユーロ(約284億5000万円)を集めるために「残された時間はほとんどない」と、会計検査院は同館の運営陣に対して警告している。
ル・ボンはアメリカの個人スポンサーだけに焦点を当てるだけでなく、サウジアラビアを含む国々からも資金を集めようと画策しているという。彼は今月中に資金調達の計画を提出し、新年が始まる前に最終決定することに同意した。
アート・ニュースペーパーによるとル・ボンは、「十分な資金が集まらなければ、計画を変更しなければならないかもしれない」ことを認めたという。(翻訳:編集部)
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