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モネの120年越しの悲願が成就! テムズ川を描いた連作21点のイギリス公開が決定

クロード・モネ(1840-1926)が1899年から1901年にかけてロンドンのテムズ川の景色を描いた21点の連作が、9月27日からロンドンのコートールド美術館で開催される展覧会でイギリス初公開される。これはモネの悲願だった。

クロード・モネ《London, Parliament, Sunlight in the fog,》(1904)Photo: RMN-Grand Palais (Musee d’Orsay) /Herve Lewandowski

印象派を代表する画家クロード・モネは、同じ場所にイーゼルを構え、時の移り変わりを描き続ける「連作」を数多く制作した。モネは1899年から1901年にかけて3回、合計6カ月間ロンドンに滞在し、テムズ川を題材にした連作に着手。フランス・ジヴェルニーにあるアトリエで計21点を完成させた。

連作には、テムズ川とチャリング・クロス橋、ワーテルロー橋、国会議事堂がモネ独特の厚塗りと短い筆致で描かれている。1901年に妻アリスに宛てた手紙の中で、彼はイギリスについて「画家にとってこれほど素晴らしい国はない」と書いている。またモネはロンドンについて、「描くのが難しいほど面白い街です。霧の中には黒、茶色、黄色、緑、紫色が混ざっており、ロンドンで絵を描く楽しさは、このような霧の中から対象を浮かび上がらせることにあります」と評した。

連作は1904年にパリで初めて展示され、モネはその翌年にロンドンでの展示を熱望したが、計画は頓挫した。今、そんなモネの悲願が120年の時を経て叶おうとしている。ロンドンのコートールド美術館で9月27日から開催される展覧会「The Griffin Catalyst Exhibition: Monet and London. Views of the Thames」(2025年1月19日まで)で、21点の連作がイギリス初公開されるのだ。

この展覧会では、モネが1904年に自らキュレーションして開催したパリの展覧会を再現。同館は「連作のいくつかが描かれた、サヴォイ・ホテルからわずか約300メートルしか離れていないコートールド美術館で、モネは果たせなかった野望を実現する」と説明する。作品については、「これまで見たことのないような、心揺さぶられる、神秘的な光や輝く色彩に満ちたテムズ川の素晴らしい眺めを見られることでしょう」と太鼓判を押す。

コートールド美術館の絵画部門シニア・キュレーターカレン・セレスは、US版ARTnewsのメール取材にこう語った。

「モネがロンドンのテムズ川を描いた連作は、それまでに制作した絵画の中で最も大規模かつ野心的なシリーズであり、間違いなく、彼が様々な都市で制作した連作の中で最も重要なものです」

「このシリーズは、印象派のアプローチを極限までつきつめ、水上に漂う霧の状態や光を捉えようとした、彼の複雑な努力が体現されています。モネはイギリスを愛し、そこで認められたいという願いを持っていました。 この展覧会は、彼の画業の核心に迫り、彼のシリーズのひとつを明確に提示する初めてのものになります」(翻訳:編集部)

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