ARTnewsJAPAN

モネが愛したルーアン大聖堂で火災。建物損壊は免れるも、収蔵作品に水損が及んだ可能性

クロード・モネが1890年代初頭に頻繁に描いていたルーアン大聖堂の改修工事中に火災が発生した。炎は1時間ほどで消火され死傷者はなかったというが、消火活動に使用した水によって収蔵作品に損害が及んだ可能性がある。

ルーアン大聖堂の外観。Photo: Bruno de Houges/Gamma-Rapho via Getty Images

パリノートルダム大聖堂で起きた大火災を彷彿とさせる事件が、フランスで再び起きた。ルーアン大聖堂の尖塔を覆っていた防水シートが7月11日に発火したのだ。消火活動は1時間ほどで完了し、ルーアン大聖堂に燃え移った炎は消防隊によって尖塔で食い止められた。

地元当局によると、2017年から行われている改修工事の最中に大聖堂の尖塔を覆っていた防水シートに火が付いて火災が発生したという。19世紀の建築家ジャン=アントワーヌ・アラヴォワーヌにちなんで名づけられた尖塔は、数週間前から作業用の足場に囲まれていた。

今回の火災による死傷者はおらず、建物自体にも大きな被害はなかった。火災は「作業員の手違い」によって生じたと、文化省はル・フィガロ紙に語っている。

セーヌ=マリティーム県知事、ジャン=ブノワ・アルベルティーニは今回の火災に関して次のような声明を発表した。

「私たちは非常に価値の高い遺産を扱っています。現在、消火活動に使った水によって美術品に影響が及んでいないか確認しているところです。いくつかの作品を保護する必要があるかもしれません」

およそ150メートルの高さを誇る鋳鉄製の尖塔は、この種のものとしては、フランスいちの高さを誇る。ルーアン大聖堂は、移り変わる光の影響を巧みに捉えるクロード・モネの画題として何度も登場しており、この大聖堂は、印象派ファンにとって人気の高い場所となっている。また、今年は印象派がパリで誕生してから150周年を迎えることから、ルーアン大聖堂には多くの観光客が訪れることが予想される。(翻訳:編集部)

from ARTnews

あわせて読みたい