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  • 2024.07.26

今週末に見たいアートイベントTOP5: 国内最大規模のフィリップ・パレーノ展、エッシャー作品約160点が集結!

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

フィリップ・パレーノ:この場所、あの空(ポーラ美術館)より、フィリップ・パレーノ《私の部屋は金魚鉢》2024年  Courtesy of the artist

1. 生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界(東京都庭園美術館)

《アマリリス》 1919(大正8)年頃 油彩、カンヴァス 夢二郷土美術館蔵

最新研究に基づく視点で振り返る竹久夢二の生涯

「大正ロマン」を象徴する画家であり、詩人でもあった竹久夢二(1884-1934)。彼はグラフィックデザイナーの草分けとしても活躍し、本や雑誌の装丁、衣服や雑貨などのデザインを手がけ、暮らしの中の美を追い求めた。本展は、生誕140年を記念して、初公開資料を含む約180点を織り交ぜながら、最新の研究に基づく新たな視点で夢二の生涯をたどる。

見どころは、長らく所在不明だった幻の名画《アマリリス》の東京初公開だ。夢二の油彩画は現存するだけでも約30点しかなく、本作も貴重な作例となっている。また、友人の手元に残されていた、欧米滞在時に使用したスケッチ帖も初公開。時代の立役者となった竹久夢二の魅力を堪能することができる。

生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界
会期:6月1日(土)~ 8月25日(日)
会場:東京都庭園美術館(東京都港区白金台5-21-9)
時間:10:00 ~18:00(7月19日〜8月23日までの毎週金曜は21:00まで、入館は30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)

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2. フィリップ・パレーノ:この場所、あの空(ポーラ美術館)

《幸せな結末》2014-2015年

箱根の自然と呼応するドラマティックな大型個展

現代のフランス美術を代表するフィリップ・パレーノは、現実とフィクション、仮想の境界、あるいは実物と人工物との間に生じる乖離や、その奇妙なずれへと意識を向けて作品を制作している。彼は展覧会そのものをメディアとして捉え、ノスタルジックで不思議な光景の連続と、まるで映画の中に迷い込んだかのような体験を生み出している。

パレーノは世界各地で、その場所の特性や建築を活かした展示を行っている。国内最大規模の個展となる本展では太陽を追跡する大型のミラー作品を、箱根の豊かな自然を背景に展開する。そのほか作家の代表作である映像作品《マリリン》をはじめ、初期作品から初公開のインスタレーションまで、作家の幅広い実践を多面的に見ることができる。

フィリップ・パレーノ:この場所、あの空
会期:6月8日(土)~ 12月1日(日)
会場:ポーラ美術館(神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285)
時間:9:00 ~17:00(入館は30分前まで)
休館日:無休


3. 企画展「エッシャー 不思議のヒミツ」(豊田市美術館)

《昼と夜》 1938年、木版 Maurits Collection, Italy / All M.C. Escher works © 2024 The M.C. Escher Company, Baarn, The Netherlands. All rights reserved mcescher.com

不思議の世界へ誘うエッシャーの作品約160点が集結!

「だまし絵」で知られる画家、マウリッツ・コルネリス・エッシャー(1896-1972)は、同時代のアートのみならず過去の美術からもインスピレーションと影響を受け、幾何学的な構成と厳密さを追求して、視覚芸術の本質に迫る作品を生みだしている。

本展では、エッシャーがサミュエル・イェッスルン・ド・メスキータに師事していた頃のアール・ヌーヴォーにインスピレーションを得た作品をはじめ、イタリア滞在時代の作品も含めた約160作品を集めた。会場内に設置された、エッシャーの不思議な世界に入り込むことができるさまざまな体験展示と合わせて、今なお多くの芸術家に与え続ける数多くの遠近法的、幾何学的、構成的パラドックスに触れることが出来る。

企画展「エッシャー 不思議のヒミツ」
会期:7月13日 (土)~ 9月23日 (月)  
会場:豊田市美術館(愛知県豊田市小坂本町8丁目5番地1)
時間:10:00 ~17:30(入館は30分前まで)
休館日:月曜(祝日は開館)


4. 松井えり菜 「アストラル・ドリーマー」(ANOMALY)

松井えり菜《子供部屋のアトリエ》(2022) キャンバスに油彩、H41xW32cm ©︎Erina Matsui 撮影:坂本理

視点を変えることで見える松井の新たな世界

「変顔」と呼ばれる滑稽な表情や、極端にデフォルメされた顔の作品で知られる松井えり菜。同時に松井は漫画やアニメから大きな影響を受け、憧れの対象に変身するような自画像も描いてきた。

本展タイトルの「アストラル・ドリーマー」は、幽体離脱(≒アストラル・トリップ)して、夢(時には悪夢という現実)のように様々な自分自身がいる、という意味の造語。松井は、パリでの滞在制作を進める中で、何を描き、何を描かないかを改めて考察し、むしろ描かなかったことで広がる無限空間に着目している。松井が鏡で自身を見ている様子を天井から見ているという入れ子状態の自画像や、憧れのパリに居るが、少女漫画のように素敵な自分ではなく、朝起き抜けで髪がボサボサというリアリティを描くなど、鳥瞰する視点が絵画で表現されている。

松井えり菜 「アストラル・ドリーマー」
会期:7月20日 (土) ~ 9月7日 (土)  
会場:ANOMALY(東京都品川区東品川1-33-10)
時間:12:00 ~18:00
休館日:日月祝 ※夏季休廊8月11日(日)~ 8月19日(月)


5. 「レイクサイドスペシフィック!―夏休みの美術館観察」(市原湖畔美術館)

光岡幸一《その先の先の先》2024年

5作家と一緒に美術館の「謎」を探索

湖の3体の彫刻や、地層のような外壁、緩やかなカーブを描き重なり合うコンクリート壁、行き止まりの道など、数々の謎が残されている市原湖畔美術館。本展では、5名のアーティストと共にその謎と戯れながら美術館の観察を試みる。

出展作家は、木を彫り出し「色」と「線」のみで風景を表現する森洋樹、時間の経過とともに刻々と変わる美術館や周辺環境の表情を「光を見つける」ことを通して発見する石田真澄、美術館内にヒントを散りばめ「新たな導線」を作る光岡幸一、壁や床を養生して建物の鋭角をほんわかさせるトモトシ、館内にかつてあった屋外水槽の跡など、リノベーションの痕跡を可視化するBIEN。期間中は建築家によるトークイベント(7月27日14:00〜15:00)や、森洋樹によるワークショップ(8月10日13:00〜15:00)、石田真澄によるトークショー(8月11日13:00~14:00)が行われる。

「レイクサイドスペシフィック!―夏休みの美術館観察」
会期:7月20日 (土) ~ 9月23日 (月)  
会場:市原湖畔美術館(千葉県市原市不入75-1)
時間:平日10:00 〜 17:00(土・祝前日9:30 〜 19:00、日祝9:30 〜 18:00、入館は30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)

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