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サザビーズ2024年上半期の中核利益は88%減。原因はオークションの不調と中国の贅沢品離れ

オークションハウスのサザビーズは、 2024年上半期のオークション売上が25%減少し、中核利益が88%もの⼤幅な落ち込みとなったことがフィナンシャル・タイムズのレポートで明らかになった。

2024年6月19日、サザビーズ・ロンドンで開催された近現代美術オークションに出品されたパブロ・ピカソ《Guitare sur un tapis rouge》。Photo: Michael Bowles/Getty Images for Sotheby's

フィナンシャル・タイムズ紙によると、アブダビを拠点とする政府系ファンドADQは今月、サザビーズに対して10億ドル(約1463億円)の増資を行い、オークションハウスの少数株式を取得することで合意した。サザビーズは、その大規模な取引を前に報告書を作成し、2024年上半期はオークション売上が25%減少し、金利・税金・減価償却前利益(Ebitda)が88%減の1810万ドル(約26億円)であったことを金融機関に明かした。 退職⾦や訴訟などの費用を除外して調整しても、Ebitdaは60%減となる。

その理由の一因としては、中国における美術品を含む贅沢品の消費減退があり、これはサザビーズのみならずライバルのクリスティーズにも影響を与えている。また、大きな売り上げが見込まれるイブニング・セールもふるわなかった。5月に行われたセールではフランシス・ベーコンが恋人のジョージ・ダイアーを描いた肖像画が目玉作品だったが、予想落札価格3000万~5000万ドル(約44億円~73億円)のところ、結果はその下限に届かなかった。

サザビーズの減速は、先月クリスティーズが同時期のオークション売上高が22%減となったという発表に続くものだ。サザビーズの決算では、予定されている増資から7億ドル(約1023億円)を同社のレバレッジのための負債の支払いに充てる意向も明らかにしている。だが、サザビーズは6月末時点で18億ドル(約2632億円)以上の純「長期負債」を計上しており、増資完了後も10億ドル以上の負債を抱えることになることを示唆している。同社の負債総額は43億ドル(6289億円)だ。

この決算はサザビーズの主要なオークション事業を対象としており、親会社であるビッドフェアの他の部門、例えば美術品コレクターに融資を行う金融サービス部門で発生した収益は含まれていない。

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