今週末に見たいアートイベントTOP5: 奇才・ビアズリーの創作を約220点で回顧、戦後西ドイツのデザイン群を本邦初公開
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. 異端の奇才──ビアズリー展(三菱一号館美術館)
ビアズリーの短くも濃密な生涯と創作を追う
オーブリー・ビアズリー(1872-1898)は25年という短い生涯で1000点以上の作品を残した。ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)との共同企画である本展は、同館が所蔵する150点を含む約220点の作品を展示する。
展示は6つの章で構成。初期の傑作《「ジークフリート」第2幕》や、出世作となった「アーサー王の死」の挿絵や、オスカー・ワイルドの「サロメ」の挿絵などが紹介される。また、ビアズリーが影響を受けたアンドレア・マンテーニャやケイト・グリーナウェイの作品も展示し、彼の創作の背景を探ることができる。さらに、ビアズリーの制作環境を再現した展示や、晩年の作品を紹介しながら、彼の芸術の進化と多様性に迫る。
異端の奇才──ビアズリー展
会期:2月15日(土)〜5月11日(日)
場所:三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2)
時間:10:00〜18:00(祝日を除く金曜日と会期最終週平日、第2水曜日、4月5日は20:00まで。入館は30分前まで)
休館日:月曜(3月31日、4月28日、5月5日は除く)
2. アンドロ・ウェクア企画:BLUMEN(Take Ninagawa)
アンドロ・ウェクア日本初のキュレーション展
ジョージア出身でベルリンを拠点に活動するアーティスト、アンドロ・ウェクアが日本で初めてキュレーションを手がける展覧会。ウェクアは、幼少期を過ごし、失われた土地の記憶や人物、動植物を織り交ぜ、時空を超える作品を制作してきた。ペインティング、コラージュ、映像など多岐にわたる表現を展開し、それらが構成する空間そのものとも向き合っている。本展では、ウェクアがコロナ禍から制作を続けてきた「花」をテーマに、彼の新作をはじめ、13人のアーティストの作品を一堂に集めた。
出展アーティストは、荒木経惟、ケトゥタ・アレクシ=メスキシュヴィリ、梅津庸一、大竹伸朗、キャロル・ギボンズ、倉俣史朗、児島善三郎、エレネ・シャンラゼ、勅使河原蒼風、パティ・ヒル、マリサ・メルツ、吉増剛造。
アンドロ・ウェクア企画:BLUMEN
会期:3月1日(土)〜4月26日(土)
場所: Take Ninagawa(東京都港区東麻布2-14-8)
時間:11:00〜19:00
休館日:日月祝
3. 戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見(東京都庭園美術館)
日本初公開!戦後西ドイツのデザインコレクション
ドイツ・デュッセルドルフ在住のグラフィックデザイナー、イェンス・ミュラーとカタリーナ・ズセックが収集した戦後西ドイツのグラフィックデザインを中心とした膨大なコレクション「A5コレクション デュッセルドルフ」。その中から、日本初公開の約130点のポスターをはじめ、多数の資料類が展示される。
展示は、「幾何学的抽象」「イラストレーション」「写真」「タイポグラフィ」の4つのカテゴリーに分類され、ポスターを中心に、冊子や雑誌など多彩な作品を取り上げる。戦後西ドイツのグラフィックデザインは、バウハウスやウルム造形大学のデザイン教育を基盤としつつも、独自の進化を遂げた。本展では、合理的で機能美を追求したデザインから、自由な表現を取り入れた作品まで、その多様な展開を辿る。
戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見
会期:3月8日(土)〜5月18日(日)
場所:東京都庭園美術館(東京都港区白金台5-21-9)
時間:10:00〜18:00 (3月21・22日、28日、29日は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(5月5日を除く)、5月7日
4. 門倉太久斗/22世紀ジェダイ個展「モア・イズ・モア」(下北沢アーツ)
門倉太久斗の装飾とマキシマリズムの世界
門倉太久斗はコムデギャルソンでパタンナーとして活動しながら、プリキュアをモチーフにしたネックレスを制作し、「22世紀ジェダイ」としてSNSで発表し注目を集めた。独立後は、現代社会を俯瞰し、独自の形状を持つ植物や人物をモチーフに、卓越した構図と色彩感覚で作品を制作している。
本展は「装飾」がテーマ。ミニマリズムのポリシーである「Less is more.」の対極にある、より多く、大きく、大胆に飾るマキシマリズムの言葉「More is more.」体現する世界観を作り上げている。会場には絵画作品だけでなく、花や私物も配置され、門倉の生き様を体感できる空間が広がっている。
門倉太久斗/22世紀ジェダイ個展「モア・イズ・モア」
会期:3月14日(金)〜3月30日(日)
場所:下北沢アーツ(東京都世田谷区北沢1-40-9)
時間:13:00〜19:00
休館日:月~水
5. この、原美術館ARCという時間芸術(原美術館ARC)
アートや建築、自然が織りなす空間体験
本展は、美術館全体を詩や音楽のような時間芸術として捉え、自然環境、建築、そしてアート作品が織りなす独自の空間体験を提供する。第1期は特別企画として、ジャネット・カーディフの初期代表作であるサウンドインスタレーション《40声のモテット》のほか、会期を通して原美術館コレクションから、2024年に高松宮殿下記念世界文化賞を受賞したソフィ・カルの《限局性激痛》が展示される。
第2期は、李禹煥の大作《風と共に》や山本糾の《落下する水》シリーズなど、時間の流れを伴う作品群を展示する。屋外には、宮脇愛子の《うつろひ》や多田美波の《明暗》など、自然環境と調和した作品が点在し、訪れるたびに異なる表情を見せる。
この、原美術館ARCという時間芸術
会期:〈第1期〉3月15日(土)〜5月11日(日) 〈第2期〉5月16日(金)〜7月6日(日)
場所:原美術館ARC(群馬県渋川市金井 2855-1)
時間:9:30〜16:30(入館は30分前まで)
休館日:木曜日(5月1日は開館)5月12日~5月15日