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今週末に見たいアートイベントTOP5: アレック・ソスの最新作が世界初公開、「ゴミ」と「うんち」の存在をアートで再注目

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

ゴミうんち展(21_21 DESIGN SIGHT)より、山野英之「クソバッジ」

1. 香りの装い ~香水瓶をめぐる軌跡~(箱根ガラスの森美術館)

「踊る男女像香水瓶」1751~54年頃、イギリス、ガール・イン・ア・スイング窯

香りにまつわる3000年の歴史をめぐる

水晶や瑪瑙、ガラスで制作された香水瓶など約80点を通して、3000年以上の時を超えて人と香りが歩んだ軌跡をめぐる展覧会。香りは古来においては神への捧げものとして、そして現代ではファッションとして、時代とともにその役割を変えている。

本展では、古代ギリシャ・ローマからはじまり、ルネサンス期のイタリア、フランス、イスラム世界、20世紀初頭までの香りの文化を展示する。時代を彩る貴婦人たちが愛した香りとともに、水晶や瑪瑙などを材料にしたものや、神話や愛などの寓意を表現したもの、新たな時代の香りのイメージを反映してデザインされたものなど古今の香水瓶が並ぶ。香りと人々の想いの詰まった「香りの装い」の歴史が立ち現れてくることだろう。

香りの装い ~香水瓶をめぐる軌跡~
会期:7月19日(金)〜2025年1月13日(月祝)
場所:箱根ガラスの森美術館(神奈川県足柄下郡箱根町仙石原940-48)
時間:10:00〜17:30(入場は30分前まで)
休館日:無休

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2. 山下陽光のおもしろ金儲け実験室(生活工房)

フリーマーケットで購入した品々がならぶ会場風景(撮影:馬込将充)

山下陽光が「面白くお金を儲ける」ノウハウを披露

ファッションデザイナー山下陽光は、安い、速い、低クオリティという低めの志で死なずに生き抜く方法を発信しつづけている。本展では、そんな山下が生活の糧を得るためのノウハウを披露する。

設立20周年を迎えたリメイクファッションブランド「途中でやめる」の新作をはじめ、個人出版、口コミ、フリーマーケットでの仕入れ、野生のワサビにヒントを得た絵画など、著書『バイトやめる学校』から深化した「おもしろ金儲け」を現在進行形で提案。熱狂的なファンを集めている山下の思いつきと実験と実践を全公開する。

山下陽光のおもしろ金儲け実験室
会期:9月3日(火)~12月26日(木)
場所:生活工房ギャラリー(東京都世田谷区太子堂4-1-1 キャロットタワー3F)
時間:9:00〜21:00
休館日:月曜(祝日は除く、11月10日は休館)


3. ゴミうんち展(21_21 DESIGN SIGHT)

 会場風景(ギャラリー2)  井原宏蕗「cycling -dead or deer-」   撮影:木奥恵三

「ゴミ」と「うんち」から世界の循環を考える

ゴミとうんちは、自然界では、ひとつのかたちに留まることなく、動き続け、多様に影響し合い、複雑に巡っているものの、人間社会では文化的にもどこか見たくないものとして扱われている。

本展では、うんちからつくられるプロダクト、ミミズの生態やトイレにまつわる資料展示など700種以上の膨大な数の展示作品や資料のほか、「ゴミうんち」という新しい概念を元にリサーチした新しい循環や価値の提案を可視化した作品などが展示される。すぐ燃やすのでも水に流すのでもなく、じっくり観察し、単純化せずに新しい態度で向き合うことで、語りきれないほどの不思議や好奇心に出会うことができる。

ゴミうんち展
会期:9月27日(金)〜2025年2月16日(日)
場所:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2(東京都港区赤坂9-7-6)
時間:10:00〜19:00(入場は30分前まで)
休館日:火曜日(祝日を除く、12月27日 〜 1月3日)


4. アレック・ソス  部屋についての部屋 (東京都写真美術館)

アレック・ソス 《Anna, Kentfield, California》〈I Know How Furiously Your Heart is Beating〉より  2017年 東京都写真美術館蔵 ⓒAlec Soth

アレック・ソスの最新作が世界初公開

1969年アメリカ・ミネソタ州生まれの写真家のアレック・ソスは、生まれ育ったアメリカ中西部などを題材とした作品で、世界的に高い評価を受けている。

本展では初期を代表するシリーズ「Sleeping by the Mississippi」から、今秋作品集を刊行予定の最新シリーズ「Advice for Young Artists」まで、約60点の作品を「部屋」をテーマに6つのセクションで紹介し、30年に及ぶソスの歩みを振り返る。また、2022年から2024年にかけてアメリカの美術学校を舞台に撮影された最新作シリーズ「Advice for Young Artists」が世界初公開される。

アレック・ソス  部屋についての部屋 
会期:10月10日(木)〜 2025年1月19日(日)
場所:東京都写真美術館(東京都目黒区三田1-13-3)
時間:10:00〜20:00(1月2・3日は10:00-18:00)
休館日:月曜(祝日は翌平日、12月29日〜1月1日)


5. リジー・フィッチ + ライアン・トレカーティン 「It Waives Back」(プラダ青山)

Ryan Trecartin Stills from Waives Back (Whether Line), 2019-2024 4K 60fps color video with stereo audio Courtesy the artist

米アーティストユニットの日本初個展

アメリカのアーティストユニット、フィッチ/トレカーティン(Fitch / Trecartin)による日本初個展。本展では2人がオハイオ州の田舎に自宅とスタジオを移した2016年に始まったシリーズより、新作の映画と彫刻を含む大きな作品群で構成される。

映画の舞台となったのは、2人が自宅の敷地に建設した巨大な流れるプールや堀、大型のホビーバーン、そして高さ15メートルの森の見張り塔などからなる常設のセット。この作品は、領土や所有権といった対立する概念、そしてそうした概念が自己の発達に与える影響を中心的テーマとしている。彫刻作品は、映画作品の“字幕”の役割を果たし、他作品と観客を視覚的にも心理的にも繋げている。

リジー・フィッチ + ライアン・トレカーティン 「It Waives Back」
会期:10月24日(木)〜2025年1月13日(月祝)
場所:プラダ青山(​​東京都港区南青山5-2-6)
時間:11:00〜20:00
休館日:無休

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