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  • 2024.10.04

アメリカ館代表作家のジェフリー・ギブソンがハウザー&ワースに所属。アート・バーゼル・パリで新作を発表

アメリカ先住民をルーツに持ち、今年のヴェネチア・ビエンナーレアメリカ館の代表アーティストでもあるジェフリー・ギブソンが、メガギャラリーのハウザー&ワースに所属することが発表された。10月18日から行われるアート・バーゼル・パリの同ギャラリーブースでは新作展示が行われる。

ジェフリー・ギブソン。2024年撮影。Photo: Inez and Vinoodh

世界4大ギャラリーの1つとして数えられるハウザー&ワースは、アメリカ先住民をルーツに持つアーティスト、ジェフリー・ギブソンの所属を発表した。

この所属契約は、ニューヨークを拠点とするギャラリー、シッケマ・ジェンキンズ&カンパニーと共同となる。それにより、これまで所属していたロサンゼルスのロバーツ・プロジェクトギャラリーや、2023年に60万ドル(約8800万円)以上の未払い金があるとしてギブソンが訴訟を起こしたシカゴのカヴィ・グプタ・ギャラリーとは提携関係を解消する形となる。

現在52歳のギブソンは、アメリカのインディアン部族であるチョクトー族とチェロキー族の両親のもとに生まれた。彼はシカゴ美術館附属美術大学を卒業し、ロンドンの王立芸術学院で美術修士号を取得した。そのうち、王立芸術学院への進学には、チョクトー族インディアン協会が資金援助をしたという。現在はニューヨーク州ハドソンを拠点に活動している。

彼の作品は絵画や彫刻、インスタレーション、映像、パフォーマンスなど多岐に渡るが、共通してネイティブ・アメリカンの芸術に根差した抽象的な模様と鮮やかな色彩が使われている。素材についても大きな関心を寄せており、ビーズ細工、バスケット、動物の皮など先住民が伝統的に用いていたものを研究し、作品に反映している。中でもカラフルなビーズを全体に刺したボクシングのパンチングバッグがよく知られており、これらの多くには、詩的な言葉や文章がブロック文字で書き込まれている。作品には、アメリカ、先住民、クィア、そしてポップカルチャーや美術などの、さまざまな側面と歴史が表現されている。

アート・バーゼル・パリのハウザー&ワースで展示されるジェフリー・ギブソンの《I will continue to change》(2024)。 Photo: Max Yawney/©Jeffrey Gibson/Courtesy the artist and Hauser & Wirth

ギブソンは2024年5月にArt in Americaのインタビューで、「私の目標は、過去に作られたものを再現することではありません。私はバスケットの作り方を学びたいのではなく、バスケットを作る技術を学び、そこからさらに彫刻を作りたいのです」と語った。

近年、ギブソンの評価は急速に高まっている。彼はここ数年でもコロラド州のアスペン美術館、イギリスのセインズベリー・センター、サンフランシスコ現代美術館、ニューメキシコ州のサイト・サンタフェ、ポートランド美術館で展覧会を開催しており、2019年にはマッカーサー財団「天才賞」フェローシップに選ばれた。そして今年はヴェネチア・ビエンナーレアメリカ館の代表アーティストを務めている。さらに今年の11月には、MASS MoCAで個展を開催し、2025年秋にはメトロポリタン美術館のファサードでコミッション作品を展示する予定だ。

ハウザー&ワースでは2025年10月にパリの拠点でギブソンの個展を開催する。それに先立ち、10月18日から20日まで開催されるアートフェア「アート・バーゼル・パリ」の同ギャラリーブースで、ギブソンの新作が発表される。

ハウザー&ワースにギブソンを迎えることについて、社長マーク・パヨは声明で次のように語った。

「大変に嬉しく思います。また、私たちが深く敬愛するジェフリーのビジョンと作品を守る役割を任されたことを光栄に思います」

「ジェフリーは、鋭い文化批評家であると同時に、さまざまな媒体における形、色、そして多くの美術史的言語の統合を巧みに操るアーティストとして、現代美術の分野で独自の地位を占めています。ジェフリーは激しくも愛情に満ち、力強くも輝かしい芸術作品を通じて、最も困難で深遠な問題をウィットと喜びをもって解き明かすと同時に、アメリカ文化に対する継続的な批評を続けています。その方法は、私たち全てを包含するほどに寛大なのです」(翻訳:編集部)

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