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築120年超のグラン・パレ、アート・バーゼル・パリVIPデーに雨漏りのハプニング

アート・バーゼル・パリVIPプレビュー2日目の10月17日、パリを襲った豪雨で会場のグラン・パレに雨漏りが発生。一部の出展者や主催者が対応に追われた。フランスではハリケーンから変わった低気圧の影響で、各地で不安定な天候に見舞われていた。

10月17日の大雨で老朽化の影響が見られたグラン・パレのガラス屋根。Photo: AFP via Getty Images

アート・バーゼル・パリVIPプレビュー初日の10月16日朝、会場のグラン・パレは、さんさんと降り注ぐ陽の光を浴びていた。歴史あるガラス張りの展示場の中はまるで温室のようで、27度近くまで上がった気温に汗ばむほどだった。しかし翌日の木曜日は天気が一変。午後には豪雨がパリを襲い、築124年のグラン・パレでは雨漏りによる作品へのダメージを避けるため、緊急の対応を余儀なくされるギャラリーもあった。

主催者のアート・バーゼルは声明で、影響のあった出展者の作品を保護するため、美術品取扱の専門業者を緊急に手配したと発表。フェアの広報担当者は次のように述べた。

「10月17日午後の大雨で、グラン・パレのガラス屋根の下にあたる身廊にブースを構えていた出展者から数件の雨漏りが報告されました。長い歴史を持つグラン・パレのガラス屋根は、激しい雨の場合、多少の雨漏りを起こすことがあります。会場責任者であるフランス国立美術館連合(RMN)が対応を進めており、我われも常に連絡を取り合っています。(一般公開が始まる)18日の朝から屋根の点検が行われるなど、事態への対策が講じられています」

雨漏りの影響を受けた出展者の1つが、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルス、北京、上海に拠点を持つリッソン・ギャラリーだ。同ギャラリーの広報担当者はアートニュースペーパー紙の取材に、「天井から雨水が滴り落ちてきた私たちのブースでは、何点かの作品を移動せざるを得ませんでした」と答えている。リッソンの展示作品の中には、テキスタイルアーティスト、オルガ・デ・アマラルの2014年の作品《Viento Oro》と《Nudo 23 (plata 5)》があり、VIPプレビュー初日の16日にそれぞれ80万ドル(約1億2000万円)と40万ドル(約6000万円)で買い手が付いていた。

幸い作品への大きな被害は報告されておらず、新進アーティストを扱うギャラリーが多い上階の出展者は雨漏りの影響を受けなかった。グラン・パレを運営するRMNは声明で、「10月18日金曜日の朝から専門技術者が派遣され、ガラス屋根の不良箇所を特定して修理を行った」と発表している。

グラン・パレは、パリオリンピック・パラリンピック開催に向けた改修工事で2020年から24年まで閉鎖された。そのため、アート・バーゼル・パリは初回の22年と翌23年、エッフェル塔近くの臨時会場グラン・パレ・エフェメールで開催されている。同フェアの広報担当者は、悪天候の影響についてこう付け加えた。

「大雨に見舞われたパリ市内では、歴史的建造物のいくつかで浸水が発生しています」(翻訳:石井佳子)

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