モネ作品、約15億円での落札なるか。シカゴの会員制社交クラブが所蔵品を売却
完全会員制の社交クラブ、ユニオン・リーグ・クラブのシカゴ支部が築100年近くの施設を改修するためにクロード・モネとウォルター・ウーファーの作品をオークションに出品するという。
完全会員制の社交クラブ、ユニオン・リーグ・クラブのシカゴ支部は、築100年近いクラブ内施設の改修費用1000万ドル(約15億3600万円)の調達と、「多額のローン返済」を理由に、クロード・モネによる《Pommiers en fleurs》(1872年)と、ウォルター・ウーファーの《Land of Mañana》(1917年)の売却をクリスティーズに委託した。
これらは11月19日に開催予定の20世紀美術のイブニング・セールに出品される。《Pommiers en fleurs》には700万〜1000万ドル(約10億7400万〜15億3600万円)の予想落札価格がついており、クリスティーズの担当者、イモージン・カーはその理由を次のように語る。
「この初期印象派絵画を象徴する作品をシカゴのユニオン・リーグ・クラブが購入したのは、1895年のこと。以来、120年以上にわたって大切に保管されてきました。今回、我々がこの作品を扱えることをとても光栄に思います。本作は開花したリンゴの木をモネが初めて描いた作品として知られ、新鮮でみずみずしい色彩と若々しいエネルギーが備わっています。さらには、印象派運動の勃発と、20世紀に起きた芸術の変容を象徴する場であるアルジャントゥイユでモネが発見した芸術精神が息づいています」
そもそも、社交クラブの会員であるジョン・バートン・ペインが1895年に購入した《Pommiers en fleurs》だが、その後ペインは500ドルで社交クラブに売却。1950年代後半に本作の価値は2万ドル(現在の為替で約300万円)にまで上昇し、1985年には推定価値が90万ドル(同約1億3800万円)にまで急騰した。2020年にシカゴ美術館で開催された展覧会を除き、《Pmmiers en fleurs》はこれまでずっとユニオン・リーグ・クラブの2階に展示されていた。
しかし、新型コロナウイルスのパンデミックによって深刻な打撃を受けたユニオン・リーグ・クラブは、約75%もの常勤スタッフの解雇や経営陣の減給など、対策を講じてきた。また会員からも52万ドル(約8000万円)の寄付金を集めたが、2020年12月にモネの絵画の売却を決定。当時はニューヨークに拠点を置くウィンストン・アート・グループに査定を依頼する予定だった。同社交クラブの副理事長を務めるフランク・デヴィンセンティスはシカゴ・トリビューン紙に対し、売却の目的をこう説明する。
「財務状況が改善した今こそ、資金を調達するべきだと思います。既存の会員に寄付を今一度募るよりも、美術品の販売による資金調達が最も適切な選択肢ではないでしょうか」
デヴィンセンティスはまた、現在の《Pommier en fleurs》の評価額は過去にオーストラリアの美術商が提示した720万ドル(約11億円)よりはるかに高くなっている可能性が高いと語っている。(翻訳:編集部)
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