オーデマ ピゲが「建てない建築家」にアート作品を発注。パリのオスカー・ニーマイヤー設計の建物で今秋公開
スイスの高級時計ブランド、オーデマ ピゲは、「オーデマ ピゲ コンテンポラリー」という現代アート作品の制作コミッション事業を運営している。この度、同事業にアテネを拠点とするアーティスト、アンドレアス・アンジェリダキスの参加が決まり、古代ギリシャ文化へのオマージュとなる記念碑的なインスタレーションの制作が依頼された。
《Center for the Critical Appreciation of Antiquity(アンティークの本質的評価のためのセンター)》(2022)と名付けられたインスタレーションは、パリのエスパス・ニーマイヤーにあるドーム型の施設の中に設置される。その名の通り、この建物はブラジルのモダニスト建築家、オスカー・ニーマイヤーの設計によるものだ。
作品の展示が予定されているのは、2022年10月11日から30日まで。これは、アート・バーゼルが初めてパリで開催するフェアの会期(10月20日〜23日)と重なっている。
アンジェリダキスがエスパス・ニーマイヤーで試みるのは、いにしえのギリシャと現在の橋渡しになる作品だ。会場を彫刻、絵画、コラージュなどで埋め尽くすインスタレーションは、ニーマイヤーの建築より2千年以上古い、アテネのオリンピアゼウス神殿をもとに発想を展開するという。
建築を学んだアンジェリダキスは、彼自身の言葉を借りれば「建てない建築家」だ。彼は、多くの作品で場所とその歴史について考察し、それを古代ギリシャと結びつけている。たとえば、(ドイツのカッセルに加えてアテネも会場となった)2017年のドクメンタ14では、ギリシャ語で共同体や守護神を意味する名前の作品をアテネ会場に展示した。その作品は、発泡体とビニールでできたブロックで構成されたものだ。
彼は声明の中で次のように述べている。「新作で提供したいのは、来場者が古代について考えるための遊び心ある環境だ。私の研究や実践をエスパス・ニーマイヤーに展示するという特別な機会を与え、その実現を支援してくれるオーデマ ピゲ コンテンポラリーに深く感謝している」(翻訳:野澤朋代)
※本記事は、米国版ARTnewsに2022年6月17日に掲載されました。元記事はこちら。