100年にわたる争いがついに決着! ドイツ帝国の財宝2万7000点、ドイツ国内で永久展示へ
ドイツ連邦政府とベルリン州、ブランデンブルク州は、ドイツ帝国が所有していた財宝を巡って皇帝の子孫と1世紀におよぶ交渉と法廷闘争を繰り広げていたが、合意に至ったと5月13日に伝えられた。これによりルカス・クラナッハ(父)の絵画を含む2万7000点の財宝は、国内の美術施設や博物館で永久展示されることになる。

ドイツ連邦政府とベルリン州、ブランデンブルク州は、ドイツ帝国が所有していた2万7000点の美術品について皇帝の子孫と1世紀に渡る交渉や法廷闘争を行ってきたが、このたび合意に達し、品々はベルリンとブランデンブルク州の美術施設や博物館で永久展示されることが決まった。5月13日にサウスチャイナ・モーニング・ポストが伝えた。
1918年、ヴァイマル共和国が設立されたことによりホーエンツォレルン家によるドイツ帝国は終わりを迎えた。それに伴いホーエンツォレルン家の資産は没収され、1926年に当時のプロイセン州と同家の間で所有権の帰属を定める契約が締結された。だがその契約が曖昧な内容だったため、所有権をはっきりさせるための交渉が同家とプロイセン州の間で断続的に行われてきた。2014年からは、最後の皇帝ヴィルヘルム2世の曾曾孫プロイセン公ゲオルク・フリードリヒが連邦政府、州当局と交渉を続けており、美術品の返還と、接収された宮殿や不動産に対する補償を求めていた。途中フリードリヒが連邦政府、州当局を相手取って起こした訴訟により数年間交渉が停滞したが、2023年に訴訟が解決し、2024年に合意に至ったという。

合意の詳細は明かにされていないが、それにより、2万7000点に及ぶドイツ帝国の美術品は、現在保管されているベルリン・ブランデンブルク・プロイセン宮殿と庭園財団(SPSG)、プロイセン文化遺産財団(SPK)、ベルリンのドイツ歴史博物館(DHM)などに留め置かれ、永久展示されるという。美術品の中にはルカス・クラナッハ(父)によるブランデンブルク選帝侯ヨアヒム1世の肖像画や、フリードリヒ2世皇帝がブレスラウ市宮殿のために注文したテーブルウェアが含まれている。
この100年越しの決着について、ドイツ文化担当国務大臣ヴォルフラム・ヴァイマーは、「長い間、プロイセンの芸術とコレクション史、そしてドイツ史全体にとって中心的な役割を果たす美術品の行方について、不安定な状態が続いてきました。この合意は、文化拠点としてのドイツと芸術愛好家にとっての大きな成功です」と喜びのコメントを寄せた。(翻訳:編集部)
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