この秋の「フリーズ・ロンドン」と「フリーズ・マスターズ」は280ギャラリーが参加。作家の推薦展など工夫を凝らしたプログラムも

世界最大級のアートフェア、「フリーズ・ロンドン」と「フリーズ・マスターズ」の出展者が発表された。今年は45カ国から合わせて280を超えるギャラリーが参加。アーティスト相互推薦による「Artist to Artist」など注目のセクションが盛りだくさんだ。

フリーズ・ロンドン2024の様子。Photo: Courtesy of Frieze
2024年のフリーズ・ロンドンの様子。Photo: Courtesy of Frieze

イギリスロンドンのリージェンツパークで10月15日から19日まで開催されるアートフェア、「フリーズ・ロンドン」と「フリーズ・マスターズ」の全出展者が発表された。今年は45カ国から合わせて280を超えるギャラリーが参加する。

「フリーズ・ロンドン」は第2次世界大戦後の作品から現代アートまでを扱い、「フリーズ・マスターズ」は古美術品やオールドマスター(18世紀以前の欧州の巨匠)、近代アートが中心となる。今年のフリーズ・マスターズは、エマヌエラ・タリッツォ新ディレクターの下で行われる。また、キュレーターのファトシュ・ユステックが企画を務める「フリーズ・スカルプチャー」は、リージェンツパークのイングリッシュガーデンズで、9月17日〜11月2日まで開催される。

今回160前後のギャラリーが出展する「フリーズ・ロンドン」には、ガゴシアンPaceハウザー&ワースデイヴィッド・ツヴィルナー、リッソン・ギャラリー、OMR、タデウス・ロパック、サザン・ギルド、ホワイトキューブ、ミヒャエル・ヴェルナーなど、世界各地に拠点を構える大手ギャラリーのほか、ザ・アプローチ、アルカディア・ミッサ、カルロス/イシカワ、セイディ・コールズHQ、トーマス・デイン・ギャラリー、ホリーブッシュ・ガーデンズ、モーリーン・ペイリー、ヴィクトリア・ミロといったロンドンを拠点とする58のギャラリーも参加する。

約120のギャラリーが参加する「フリーズ・マスターズ」には、ベンブラウン・ファイン・アーツ、ガレリア・コンティニュア、エリック・ファイアストーン・ギャラリー、ザ・メイヤー・ギャラリー、マッツォレーニ、オルトゥサル、プロイエクトス・モンクロバ、サロン94などが名を連ねる。

フリーズ・ロンドンとフリーズ・マスターズには、メイン展示となる「Galleries」に加え、様々なセクションが設けられる。フリーズ・ロンドンでは、アーティスト同士の推薦による展示「Artist to Artist」が開催される。参加作家には、アブラハム・クルスビジェガス推薦によるアナ・セゴビア(クリマンズット)、エイミー・シェラルド推薦によるレネ・トレビーニョ(リン・クルーリー・ギャラリー)、カミーユ・アンロ推薦によるイラナ・ハリス=バブー(ドリームソング)などが含まれる。また、エディション作品やマルチプルが出品される「Editions」セクションには、クリステア・ロバーツ・ギャラリーやSTPIをはじめとする5つのギャラリーが出展する。

そのほか独立キュレーターのジャレー・ダスが企画する「Curated」セクションでは、ブラジルとアフリカ、およびそれらのディアスポラのアーティストに焦点を当てた「Echoes in the Present」が開催される。このセクションには、ガレリー・アティス・ダカール、シモンイス・デ・アシス、ミトレ・ガレリア、ナラ・ロエスラー、ガレリア・フォルテ・ダロイア&ガブリエルといったギャラリーが並ぶ。さらに、創業12年以内のギャラリーを対象とした「Focus」セクションには、ボンボン、クリス、シリンダー、ギャザリング、東京に拠点を置くKAYOKOYUKI、イーライ・ケア、キングス・リープなど、複数の初出展ギャラリーが参加する。

フリーズのヨーロッパ・中東・アフリカ地域ディレクターであるエヴァ・ラングレは、フリーズ・ロンドンの開催について次のような声明を発表した。

「今年のフリーズ・ロンドンでは、現代美術の未来を形作るアーティストたちとの連携を深められるような取り組みを用意しています。また、アートとの関わり方を再考し、世の中に問いを投げかけ、拡張を続けるアーティストたちの営みを前面に押し出しているのです」

フリーズ・マスターズでは、バージニア美術館の近現代美術キュレーターであるヴァレリー・カッセル・オリヴァーが企画担当を務める「Spotlight」セクションが開催。このセクションでは、20世紀に活躍したアーティストの作品が展示される予定で、ヘレナ・アルメイダ(ガレリア・フランシスコ・フィーノ)、ハ・ビク・チュエン(ロッシ&ロッシ)、アグスティン・フェルナンデス(ジェレミー・スコラー)、エレオノーレ・コッホ(アルメイダ&デール)、ベルティナ・ロペス(リチャード・ソルトーン・ギャラリー)、ナリニ・マラニ(ヴォルテ・ギャラリー)、シルド・メイレレス(ガラテア&ルイサ・ストリーナ)の作品が並ぶという。

一方、シーナ・ワグスタッフとマルグレーテ・トロエンセガードがキュレーションを手がける「Studio」セクションでは、アーティストの制作スタジオをテーマにした個展形式の展示が復活する。注目作品には、スティーブン・フリードマン・ギャラリーによるアン・ローゼンシュタインの作品や、ミゲル・アブレウ・ギャラリーによるR・H・クアイットマンの作品などが含まれる。

フリーズ・マスターズの開催について、新ディレクターのエマヌエラ・タリッツォは次のような声明を発表した

「生まれ変わったフリーズ・マスターズを率いることができ、非常に光栄に思います。古代美術から20世紀の巨匠まで、時代を超えて語りかける作品を展示している本フェアでは、コレクターや来場者の皆様に、美術史の奥深さや美しさ、そして魅力を再発見できるような構成となっております。新たな視点と過去の視点の両方によって作られた今回の展示に皆様を招待できることを楽しみにしています」(翻訳:編集部)

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