【2025年下半期】NY、パリ、ロンドン、ケルン、ソウル、上海、台北 etc. 世界の必見アートフェア17選
2025年も折り返し地点を迎えたが、アートフェアはここからが本番。秋から冬に向けて主要なフェアが目白押しに開催される。世界中で今年後半に開催されるフェアの中から厳選した17イベントをご紹介しよう。

- 1. アート・オ・ラマ(フランス)
- 2. フリーズ・ソウル&キアフ(韓国)
- 3. アーモリー・ショー(アメリカ)
- 4. インディペンデント・20th Century(アメリカ)
- 5. シドニー・コンテンポラリー(オーストラリア)
- 6. アンタイトルド・ヒューストン(アメリカ)
- 7. フリーズ・ロンドン&フリーズ・マスターズ(イギリス)
- 8. 1-54アフリカン・アートフェア(イギリス)
- 9. パリ・インターナショナル(フランス)
- 10. アートバーゼル・パリ(フランス)
- 11. アート・台北(台湾)
- 12. アーティッシマ(イタリア)
- 13. アート・ケルン(ドイツ)
- 14. ART021上海コンテンポラリー・アートフェア(中国)
- 15. ウエスト・バンド・アート&デザイン(中国)
- 16. NADAマイアミ(アメリカ)
- 17. アートバーゼル・マイアミ・ビーチ(アメリカ)
8月のサマーバケーションが明けると、世界のアート市場は一気に熱を帯び始める。ソウルではフリーズ、ニューヨークではアーモリー・ショーと、国際的なフェアが立て続けに開催され、各都市が独自の盛り上がりを見せる。2025年は、マイアミで高い人気を誇るアンタイトルド・アートがヒューストンで新たなフェアを始動するなど、例年とは異なる動きにも注目が集まる。
この記事では、2025年下半期に開催される海外アートフェアの中から、要注目の17フェアを厳選した。アート・バーゼルといった有名どころから若手ギャラリーによる気鋭のフェアまで、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの主要フェアをリストアップした。日本から世界のアートシーンへ、一歩踏み出すヒントとして活用してほしい。
1. アート・オ・ラマ(フランス)

アート・オ・ラマは、毎年8月末にフランス・マルセイユで開催されるアートフェアだ。地元のコレクターや、sans titre(パリ)、Good Weather(シカゴ)などのギャラリーオーナーがコミッショナーを務める本フェアは、世界各地の若手現代アートギャラリーが出展し、アート・バーゼルやフリーズといった大規模フェアへの登竜門的役割を担っている。昨年までのPublisherセクションは今年からEdition & Designと名称を変更し、出版業界に加えて地元マルセイユのデザイナーも参加する。
アート・オ・ラマ
日程:8月29日(金)~31日(日)
会場:フリッシュ・ラ・ベル・ド・メ
2. フリーズ・ソウル&キアフ(韓国)

アジアで最大規模のアートフェアのひとつがこのフリーズ・ソウルだ。ガゴシアン、ハウザー&ワース、ペース、デイビッド・ツヴィルナーなどのトップギャラリーからアジアの新興ギャラリーまで、世界30か国以上、120のギャラリーが参加し、国際的なアートマーケットとアジアのローカルシーンが交錯する場となっている。同時期同会場では韓国画廊協会主催のキアフ(Korean International Art Fair)も開催され、こちらでは特に韓国アートシーンの現在を体感できるだろう。
フリーズ・ソウル&キアフ
日程:9月4日(木)~6日(土)(3日はプレビュー)
会場:COEXコンベンション・センター
3. アーモリー・ショー(アメリカ)

ニューヨークで開催されるアーモリー・ショーは、長い歴史と確かな人気を確立しており、例年200以上のギャラリーが出展している。今年は2023年のフリーズによるアーモリー・ショー買収の効果もあってか、カスミン、ヴィクトリア・ミロ、ホワイト・キューブ、エスター・シッパーなどの大手ギャラリーの出戻りもみられ、さらなる盛り上がりが期待できる。2025年からはアートとデザインに注目したプレゼンテーションのFunctionセクションが新設され、56 Henry(ニューヨーク)、House of Gaga(メキシコシティ)などが出展する。
アーモリー・ショー
日程:9月5日(金)~7日(日)(4日はプレビュー)
会場:ジェイコブ・ジャビッツ・コンベンション・センター
4. インディペンデント・20th Century(アメリカ)

5月のニューヨーク・アート・ウィークに開催しているインディペンデントの姉妹フェアであり、こちらは20世紀のアート史で過小評価されていた作家や美術運動の再発掘を目的としている。各ブースはネイティブアメリカン、ラテンアメリカ作家、女性作家など、非西洋・非主流の視点からキュレーションされており、個人コレクターよりも美術館への収蔵を目的とする側面を持つ。
インディペンデント・20th Century
日程:9月5日(金)~7日(日)(4日はプレビュー)
会場:バッテリー・マリタイム・ビルディング
5. シドニー・コンテンポラリー(オーストラリア)

シドニー・コンテンポラリーはアジア太平洋地域のアートシーンを牽引する国際フェアだ。Roslyn Oxley9 Gallery、Sullivan + Strumpf、Station Galleryといったオーストラリアの有名ギャラリーからCOMAやPIERMARQなどの注目ギャラリーが名を連ねる。本年から新たに設立された、写真作品に特化したPhoto Sydneyセクションも見逃せない。
シドニー・コンテンポラリー
日程:9月11日(木)~14日(日)(10日はプレビュー)
会場:キャリッジワークス
6. アンタイトルド・ヒューストン(アメリカ)

今年大きな注目を集めているのは、テキサス州ヒューストンで始まるこのフェアだ。12年に渡りマイアミでフェアを開催してきたアンタイトルド・アートは、テキサス州の経済規模、成熟したコレクターの数、そしてラテンアメリカ文化への玄関口などの理由からヒューストンの地で新たなフェアを開催する運びとなった。出展ギャラリーは全部で84軒、地元テキサスからはErin Cluley GalleryやInman Gallery、日本からCOHJU、YOD Galleryが出展する。新興ギャラリーや非営利団体向けのNestセクションにはSeven Sisters(ヒューストン)、Martha’s(オースティン)、Povos(シカゴ)などが参加予定だ。
アンタイトルド・ヒューストン
日程:9月19日(金)~21日(日)(18日はプレビュー)
会場:ジョージ・R・ブラウン・コンベンション・センター
7. フリーズ・ロンドン&フリーズ・マスターズ(イギリス)

世界的アートフェア、フリーズの顔であるフリーズ・ロンドンは、単なるフェアではなく、国際的な現代アートマーケットの縮図であり、現代アートの未来を提示する文化的にも経済的にも重要なプラットフォームだ。フリーズ・ロンドンは21世紀の現代アートに特化しており、セクションごとにキュレーションされたプレゼンテーションを楽しむことができる。一方フリーズ・マスターズは、古美術品やオールド・マスターからモダン・アートまで歴史的な美術品を発表する場となっており、美術館クラスの名品が連ねる。両フェア合わせて45カ国280以上のギャラリーが参加する世界最大級のアートフェアとして、ロンドンの秋をアートで彩る。
フリーズ・ロンドン&フリーズ・マスターズ
日程:10月16日(土)~19日(日)(15日と16日午前はプレビュー)
会場:リージェンツ・パーク
8. 1-54アフリカン・アートフェア(イギリス)

1-54 Contemporary African Art Fairは、アフリカおよびそのディアスポラによる現代アートに特化した唯一無二のアートフェアである。ロンドン、ニューヨーク、マラケシュの3都市で開催され、アフリカ文化の多様性と人気を肌で感じることができる。アートのみならず、特別プログラムやトークセッションを通じてファッション、建築、文学、音楽などにも触れることができ、アフリカの多様な文化を体感できる。
1-54アフリカン・アートフェア
日程:10月17日(金)~19日(日)(16日はプレビュー)
会場:サマセット・ハウス
9. パリ・インターナショナル(フランス)

パリ・インターナショナルは、パリ・バーゼルとは異なる地図を描くサテライトフェアだ。国際的な新興ギャラリーによる、実験的かつ挑戦的な展示を特徴としており、若手アーティストやギャラリーにとっての重要な発表の場となっている。中にはパリ・インターナショナルでの出展をきっかけにアートバーゼル・パリに出展するギャラリーもみられる。同時期に開催される、アジア圏のアートに焦点を当てた「アジア・ナウ」なども含めて、パリのアートウィークを多角的にチェックしてほしい。
パリ・インターナショナル
日程:10月22日(水)~26日(日)(21日はプレビュー)
会場:未定
10. アートバーゼル・パリ(フランス)

バーゼル、マイアミ、香港に次ぐ4番目の拠点であるアートバーゼル・パリは、今年は40か国から203のギャラリーが出展する。出展ギャラリーの3分の1が地元パリを拠点としており、フランスのアートシーンの活性化と芸術の中心地としての地位を確立させようという方針がうかがえる。同フェアはメインエリアのGalleries、新興ギャラリーによるEmergence、1900年以前に制作された作品にフォーカスしたPremiseで構成される。昨年から始まった、一般公開日限定で遊び心ある展示を行う企画Oh La La!は今年も実施予定だ。
アートバーゼル・パリ
日程:10月24日(金)~26日(日)(22日と23日はプレビュー)
会場:グラン・パレ
11. アート台北(台湾)

アート台北は1992年から30年以上の歴史をもつ国際的フェア。台湾ローカルギャラリーの出展が中心だが、昨年はペロタンやスカイ・ザ・バスハウスなど有力ギャラリーの出戻りもあり、グローバル市場における存在感を取り戻している。また昨年から始まった同時期開催のプログラム、Taipei Art Weekとの連携により都市全体を舞台にアート体験を提供。2025年のプログラムではさらなる発展が期待されている。
アート台北
日程:10月24日(金)~27日(月)(23日と24日午前はプレビュー)
会場:台北世界貿易センター
12. アーティッシマ(イタリア)

イタリア・トリノで開催される現代アートに特化したフェア。2025年で32回目を迎え、例年170以上のギャラリーが参加している。若手作家の発掘や新興ギャラリーのサポートにも力を入れており、ヨーロッパを中心にアート関係者から注目を集めている。イタリアは2025年6月、美術品の付加価値税を22%からEU最低水準の5%へと引き下げることを発表した。本フェアのセールスにも良い影響があるのではないだろうか。
アーティッシマ
日程:10月31日(金)~11月2日(日)(30日はプレビュー)
会場:オーバル・リンゴット
13. アート・ケルン(ドイツ)

1967年に設立された、世界最古の近現代美術のアートフェア。絵画や彫刻作品のみならず、映像やインスタレーション作品の出品も多くみられ、ドイツの現代アートの独自性を見ることができる。昨年はエスター・シッパー、Galerie Nagel Draxler、Galerie Gisela Capitainなどドイツの有名ギャラリーを含む、24か国から約170ギャラリーが出展した。
アート・ケルン
日程:11月7日(金)~9日(日)(6日はプレビュー)
会場:ケルン・メッセ
14. ART021上海コンテンポラリー・アートフェア(中国)

2013年に設立された中国有数の現代アートフェア。運営するART021 Groupは、北京、深圳、香港でもフェアを展開しており、中国アート市場にアプローチするハブとなっている。2024年には131ギャラリーが出展し、デイビッド・ツヴィルナーやペロタンといった欧米ブルーチップ・ギャラリーに加え、日本からはタカ・イシイギャラリー、マホ・クボタギャラリーなどが参加している。
ART021上海コンテンポラリー・アートフェア
日程:11月15日(土)~16日(日)(13日と14日はプレビュー)
会場:上海展覧センター
15. ウエスト・バンド・アート&デザイン(中国)

ART021に並び、上海のアートシーンの中核を担うのがこのフェアだ。ART021に比べて欧米ギャラリーの比率が高く、国際色が強いプレゼンテーションを見ることができる。アート施設が集積する西岸(ウェスト・バンド)エリアで同時期に開催しているアートイベントを巡ってみるのもいいだろう。
ウエスト・バンド・アート&デザイン
日程:11月13日(木)~16日(日)
会場:ウエスト・バンド・アート・センター
16. NADAマイアミ(アメリカ)

マイアミ・アートウィークでは20以上のフェアが開催されているが、その中でも注目なのがNADAマイアミだ。各国から150以上のギャラリーが集まり、若手ギャラリーによる小規模プレゼンテーションから有名ギャラリーの洗練された作品まで幅広いジャンルの現代アートを鑑賞することができる。NADAの他にも、同時期にマイアミで開催されるアンタイトルド・アート・フェアも上質な現代アートに出会えるので一緒に周っておきたい。
NADAマイアミ
日程:12月2日(火)~6日(土)
会場:アイス・パレス・スタジオ
17. アートバーゼル・マイアミ・ビーチ(アメリカ)

アートマーケットの1年を締めくくる重要な舞台が、フロリダ州マイアミで開催されるこのフェアだ。毎年280を超えるギャラリーと4000人以上のアーティストの作品が集まり、絵画、彫刻、映像と多様な作品に出会える。会期中は、会場外でも多数のVIPパーティーが開催され、世界中の著名人や美術関係者が集結し、都市全体がアートとカルチャーに包まれる。
アートバーゼル・マイアミ・ビーチ
日程:12月5日(金)~7日(日)(3日と4日はプレビュー)
会場:マイアミ・ビーチ・コンベンション・センター