ピカソ、ゴッホ、クリムト、ミロ……著名コレクターの豪華遺産が11月競売に、サルガドの温暖化対策支援に100万ドル集まる、不要品セールで1万円で買った写本は145万円相当だった!~9月のオークション記事まとめ
ARTnewsが9月に報じたオークション関連の記事をまとめてお届けする。2人の著名コレクターの遺産だったピカソ、ゴッホ、クリムト、ミロ、デビュッフェらのそうそうたる作品群が、11月にクリスティーズとサザビーズで競売される。計5000万ドル相当のデ・クーニングの作品3点を孫が、ポーランドのトップコレクターは私設美術館の資金調達のために約200点のコレクションを、それぞれオークションに掛ける。9月の結果では、サザビーズのガラで写真家サルガドの気候変動対策プログラムが約100万ドルを集め、フィリップスは若手アーティスト対象のセールで32人にオークション記録を樹立させた。一方、オークションではなく不要品セールがお宝発見の場になることも。米・メイン州の24歳男性が75ドル(1万円強)で購入した中世の祈禱(とう)書の写本は、なんと1万ドル(約145万円)相当!のお宝だった。
ゴッホ、フロイド、クリムト、オキーフ、ジョーンズ……マイクロソフト元創業者の遺産が明らかに、11月にクリスティーズで競売に
フィンセント・ファン・ゴッホ、ルシアン・フロイド、ジャスパー・ジョーンズ、グスタフ・クリムト、ジョージア・オキーフ……マイクロソフトの共同設立者だった故ポール・アレンの遺品から、競売に掛けられる作品の内訳が明らかになった。11月9、10日にニューヨークのクリスティーズに登場する。彼のコレクションは長い間、謎に包まれていた。落札総額はオークション史上最高になると見込まれ、収益はアレンが生前に設立した財団による慈善活動に寄付される。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年9月23日に掲載されました。元記事はこちら。
ウィレム・デ・クーニング《コラージュ》(1950年)=サザビーズ提供
ピカソ、デ・クーニング、ミロ……元ホイットニー美術館長のコレクション90作品、11月にサザビーズで競売
パブロ・ピカソ、ウィレム・デ・クーニング、ジョアン・ミロ、ジャン・デビュッフェらの90点もの絵画や彫刻が、11月14日、ニューヨークとパリのサザビーズで競売に掛けられる。1996年に亡くなった、弁護士でホイットニー美術館元館長のデビッド・ソリンジャー氏のコレクションで、遺族が出品する。ピカソが1927年に描いたマリー・テレーズ・ウォルターの肖像画《Femme dans fauteuil》は、落札予想価格1500万~2000万ドル。ジャコメッティの彫刻は2000万ドル、デ・クーニングの抽象画は1800万~2500万ドルと予想される。
ソリンジャー氏は20世紀美術に絞って収集した。パウル・クレー、フェルナン・レジェ、フランツ・クライン、ワシリー・カンディンスキーらも含み、推定150点に及ぶ。ホイットニー美術館、メトロポリタン美術館、グッゲンハイム美術館など、NYの複数の美術館に寄贈されたという。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年9月29日に掲載されました。元記事はこちら。
1965年にイーストハンプトンのスタジオで。ウィレム・デ・クーニングはさまざまな原料を絵の具に混ぜ合わせていた=アラン・バウム/ニューヨークタイムズ 写真:The New York Times/アフロ
デ・クーニングの総額5000万ドルの絵画3点、11月にサザビーズで競売
ウィレム・デ・クーニングの絵画3点が11月、サザビーズNYの現代美術セールに登場する。抽象表現主義のデ・クーニングが1960年代から1980年代にかけて制作した大規模作品だ。相続人である孫が手放す。落札見積もり額は、青、緑、白で塗られた《モントークII》(1969年)が、1000万~1500万ドル。《無題》(1979年)は3000万~4000万ドル、《The Hat Upstairs》(1987年)は800万~1200万ドルとなっている。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年9月16日に掲載されました。元記事はこちら。
ポーランド人アートコレクターのグラジーナ・クルチュク=同氏提供
ポーランド人トップコレクター、私設美術館の資金調達のためコレクションを売却へ
ポーランドのコレクター・投資家のグラジーナ・クルチュクは、スイスにある私設美術館の資金調達のため、10月18~20日、コレクションから約200点をオークションに掛ける。オークション会社は、ワルシャワを拠点とする「デサ・ユニカム」。手放すのは戦後や現代のポーランド人アーティストの作品で、収益は文化に資金提供する慈善団体に寄付する。また、美術館の展示・パフォーマンス・ダンスのプログラムや、研究イニシアチブにも使うという。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年9月27日に掲載されました。元記事はこちら。
セバスチャン・サルガド。ロンドン自然史博物館での個展「セバスチャン・サルガド:起源」の内覧会で2013年4月、インタビューに応えて=ロイター/スザンヌ・プランケット 写真:ロイター/アフロ
写真家サルガドの地球温暖化対策プロジェクト、一晩で100万ドルの寄付を集める
サザビーズは9月28日夜、写真家セバスチャン・サルガドと妻が取り組む地球温暖化対策プロジェクト「地球研究所」を支援する新しいガラパーティーを主催した。アニー・リーボビッツが議長を務め、会場にはサルガドの写真50点を展示。29日のライブオークションでは約100万ドルを集めた。なお、「マグナム・オーパス」と題された写真は10月12日まで販売中。《ツリー・オブ・ライフ》(2022年)は、アマゾンの先住民を写した4分間のビデオ作品で、単体のNFT(非代替性トークン)。わずか250ドルで販売される5000枚のサルガドの写真のNFTコレクションは、同12日にサザビーズのNFTマーケットプレイス「サザビーズ・メタバース」で発売される。サルガドと地球研究所は、大西洋岸の熱帯雨林地域で植林活動をしている。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年9月29日に掲載されました。元記事はこちら。
パット・フィリップス《Untitled (A Horse With No Name)(無題<名前のない馬>)》(2019年)
フィリップス、新進アーティストを特集。32人がオークションの自己最高価格を更新、見積もりの8倍の落札も
フィリップスはNYで新進アーティストを特集する「新しい今」セールを開いている。9月最終週のセールでは、32人のアーティストが自己最高価格を更新。落札予想の4~8倍の高額で売れた作家もいた。計222ロットの売上高はプレミア込みで総計840万ドル、落札総額は670万ドル(予想落札額730万ドル)だった。
落札予想価格を超えたものでは、29歳のルイ・フラティーノの絵は見積もりの2倍の27万7200ドルの価格を付けた。ラッパーのカニエ・ウェストとコラボ経験のある画家ウェス・ラングは、予想価格5万ドルをはるかに超える25万2000ドルで落札された。ホイットニー・ビエンナーレの2019年の展示で注目されたパット・フィリップスは、予想価格8000ドルだった絵画《Untitled (A Horse With No Name)》(2019年)が6万3000ドルと8倍以上の値をつけた。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年9月29日に掲載されました。元記事はこちら。
フランス、オワーズ県にあるボーヴェ大聖堂。13世紀から16世紀に建てられた 写真:アフロ
不要品セールでお宝発見、75ドルで買った中世の写本は1万ドルの価値
米・メイン州の24歳の男性が、不要品セールで75ドルで買った中世の写本は、フランスのボーヴェ大聖堂で700年前に使われていた貴重な祈禱書の1ページだった。この祈禱書はかつて米国の新聞王ハーストが所有していたが、死後売却されて散逸したという。大学で中世の写本を学んだことのあった男性は、「西暦1285年」と記されたメモを見てピンと来たそう。専門家の鑑定で本物と確認され、価値は1万ドル相当。だが、男性本人に売る気はないそうだ。
※この記事は、米国版ARTnewsに2022年9月26日に掲載されました。元記事はこちら。