別れを告げる場で生まれた響き合い──「最優秀ギャラリー・グループ賞」は「Bowls, Boxes, Plates & Vessels」【ARTnews Awards 2025】

US版ARTnewsが2024年に開始した「ARTnews Awards」は、アメリカの美術機関やギャラリーで開催された様々な展覧会を対象に、優れた展示を選出して讃えるもの。2025年の「最優秀ギャラリー・グループ賞」は、新進作家と見過ごされてきた作家の両方に光を当て続けてきたパーカー・ギャラリーが、自宅で開催した最後の展覧会「Bowls, Boxes, Plates & Vessels」。

Photo: ARTnews JAPAN
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別れを告げるのはつらいものだ。パーカー・ギャラリーで開催されたグループ展「Bowls, Boxes, Plates & Vessels」には、この思いが根底にあった。この展覧会は、ギャラリー創業者のサム・パーカーが長年拠点としてきたカリフォルニア州ロスフェリス地区の自宅で開催された最後の展示となった。2017年の設立以来、パーカー・ギャラリーは新進作家に光を当てるとともに、これまで見過ごされてきたアーティストも積極的に紹介してきた。このグループ展も、こうした感性が鮮やかに体現されていた。

「Bowls, Boxes, Plates & Vessels」の開催にあたってパーカーは、過去に展覧会を開催した作家たちを再び招き、「容器を造形作品として捉える」をテーマに掲げた展示への参加を呼びかけた。マグダレナ・スアレス・フリムケス(Magdalena Suarez Frimkess)やナンシー・シェイヴァー(Nancy Shaver)から、ルビー・ネリ(Ruby Neri)、クサカ シオ、ザカリー・リーナー(Zachary Leener)、デイジー・シェフ(Daisy Sheff)まで、世代を超えた作家たちが集った。工芸的技法に注目してきたギャラリーらしく、展示会場には、手に持てる小さなボウルから球体のような花瓶、大型彫刻まで、多彩な造形物が並んだ。居住空間で開催されたことで、この展覧会の魅力はさらに高まり、作品と場所との思いがけない響き合いを生み出していた。(翻訳:編集部)

【ノミネート展示】

「Galleon Trade」
会場:シルバーレンズ(ニューヨーク)
会期:2025年6月26日〜8月23日

「This artwork did not sell.」
会場:マクスウェル・グラハム(ニューヨーク)
会期:2025年3月12日〜4月19日

「Trees Never End and Houses Never End」
会場:スカイ・ハイ・ファーム(ニューヨーク)
会期:2025年6月28日〜10月11日

「There’s Something About Maria: Vaginal Davis and ektor garcia」
会場:アダムス&オルマン(オレゴン)
会期:2024年9月20日〜11月2日

審査員:ヴィクトリア・サン(バークレー美術館)、ルバ・カトリブ(MoMA PS1)、ライアン・N・デニス(ヒューストン現代美術館)、アン・エルグッド(ロサンゼルス現代美術館)、ロサリオ・ギラルデス(ウォーカー・アート・センター)、アレックス・グリーンバーガー(US版ARTnews)、マクシミリアーノ・デュロン(US版ARTnews)

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