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「ゴッドファーザー」3作目に登場したシチリアの城が690万ドルで売却へ

シチリア島のイオニア海に面した海岸近くの南斜面に、有名な鉱山王が19世紀に建てた城がある。今も無傷のまま残るその城は、互いに連結された三つの棟、22の部屋、専用の公園、そして城主の依頼によって制作された美術品などを含め、600万ユーロ(約690万ドル)で売りに出されている。

ペンニージ男爵がシチリア島に建てた城の敷地内にあるチャペル Courtesy Sotheby's International Realy
ペンニージ男爵がシチリア島に建てた城の敷地内にあるチャペル Courtesy Sotheby's International Realy

アゴスティーノ・ペンニージ・ディ・フロリステッラ男爵が、パレルモの建築家ジュゼッペ・パトリコロに設計を依頼し、ホテルの跡地に建てられたこの城は1800年に完成した。1980年代には、フランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッドファーザー」3部作の3作目のセットとして使われている。

約4000平方メートルある城自体も素晴らしいが、敷地内の他の建造物も見事だ。城と共に売却されるゴシック様式のチャペルの壁は、ペンニージ男爵がイタリアの芸術家たちに作らせた美術品で埋め尽くされている。売却を仲介するサザビーズ・インターナショナル・リアルティの担当者によると、シチリアの画家ジュゼッペ・シウトが1905年に描いたフレスコ画は、チャペルの壁に残されるという。

ペンニージ男爵の依頼で作られた美術品の中には、男爵の肖像画と大理石の胸像もある。城の敷地へと続く、ヤシの木が並ぶ遊歩道の端に立つペンニージの像は、19世紀後半に活躍したイタリアの彫刻家、ジュゼッペ・プリンツィによるものだ。

ペンニージは生前、イタリアで発掘されたギリシャ時代の金貨と銀貨を収集しており、1600枚もの膨大なコレクションを所有していた。このコレクションは1980年代後半にシチリア州が取得したため、城と一緒に売却されることはない。コインは現在、イタリアのシラクサにあるPaolo Orsi Archaeological Museum(パオロ・オルシ考古学博物館)に保管されている。(翻訳:野澤朋代)

※本記事は、米国版ARTnewsに2022年1月13日に掲載されました。元記事はこちら

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