ARTnewsJAPAN

マドンナに「あの絵画を貸し出して!」 フランス・アミアン市長が行方不明の絵画をめぐり、ビデオメッセージで直談判

ポップスターのマドンナに、マドンナが所有していると考えられている絵画の貸し出しをフランスのアミアン市が呼びかけた。この絵は長年行方不明となっているもので、歴史家によると現在はマドンナのコレクションに入っている可能性がある。

ジェローム=マルタン・ラングロワ作とされる19世紀の絵画《Diana and Endymion》。Photo: Wikimedia Commons

アミアン市は、2028年の欧州文化首都開催都市への選出を目指している。今回の貸し出し要請はその一環だ。同市のブリジット・フーレ市長はマドンナに向けたビデオメッセージの中で「あなたと私たちの街には特別な縁があるのです」と呼びかけている。

問題の絵画は、ジェローム=マルタン・ラングロワが描いたとされる《Diana and Endymion》だ。第1次世界大戦前にアミアンの美術館で公開されたのを最後に、その所在に関する記録は残っていない。19世紀にフランス国王ルイ18世の依頼で描かれたこの絵は、一時は第1次大戦中の1918年に爆撃で焼失したとも考えられていた。

しかし、フランスル・フィガロ紙によると、行方不明となったこの絵のオリジナル、またはその複製が、1989年にサザビーズ・ニューヨークのオークションで落札されたという。その後の報道で、この絵を130万ドルで手に入れたのは、ポップスターのマドンナであることが判明していた。

マドンナは、タマラ・ド・レンピッカマリリン・ミンターダミアン・ハーストなどの作品や写真作品を所有するコレクターだ。彼女のコレクションを紹介した2015年のパリ・マッチ誌の記事に、《Diana and Endymion》が写った写真が掲載されている。だが、マドンナが現在もこれを所有しているのかは不明で、またこの絵がアミアン美術館から紛失したオリジナルなのかもわかっていない。

US版ARTnewsは、マドンナが所属するワーナー・ミュージック・グループの担当者に、今も彼女が作品を所有しているかどうかを問い合わせたが、回答は得られていない。(翻訳:野澤朋代)

from ARTnews

あわせて読みたい