日本にゆかりある女性アーティスト研究を支援。NCARとAWAREが新リサーチフェローシップを始動

女性アーティストたちの功績を称えることを目的としたフランスの非営利団体「Archives of Women Artists, Research & Exhibitions(AWARE)」が、日本にゆかりのある女性アーティスト研究を支援する国際フェローシップを国立アートリサーチセンター(NCAR)とともに創設する。初年度となる2026年度分の公募は、2026年1月31日までだ。

国立アートリサーチセンター(NCAR)とパリを拠点に女性アーティストの再評価とアーカイヴ構築を行う非営利団体「Archives of Women Artists, Research & Exhibitions(AWARE)」が、日本に所縁を有する女性アーティストの研究を推進するための新たな国際プログラム「NCAR×AWARE 女性アーティスト リサーチフェローシップ」を立ち上げた。

本フェローシップの対象は、視覚芸術分野で活動し、日本国内に居住または滞在する研究者やキュレーター。日本との関係性を有する女性およびノンバイナリーのアーティストに関する研究を支援する。採択は年間最大2件、1件あたり上限5000ユーロの研究費が支給され、研究期間は原則1年間だ。

日本の研究を世界にも発信

AWAREは、16世紀から21世紀にかけて活動した女性およびノンバイナリーのアーティストに関する知識を収集・共有することを目的に2014年に設立された組織で、現在は1400名以上のアーティストの伝記的テキストを収録するウェブサイトを運営している。2024年には日本語サイトローンチした

なおAWAREは、2026年1月からジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センターの一部門として再編される予定だ。創設者のカミーユ・モリノーは2023年のARTnews JAPANのインタビューの中で「もし公的機関が率先して、私たちの組織を吸収、活用し、運営を担ってくれるのであれば、そのほうがずっと良いでしょう」と語っていた

一方、森美術館館長でAWAREのアドバイザリーボードでもある片岡真実がセンター長を務めるNCARは、「アートをつなげる、深める、拡げる」をミッションに2023年に本格始動。アーカイヴの活用、人的ネットワークの構築、国際連携の推進を通じて、日本の美術研究と実践のエコシステムを更新する役割を担っている。

第1回となる2026年度の公募は、2025年12月12日から2026年1月31日まで行われる。研究成果は論文などのかたちでまとめられ、NCARとAWARE双方の公式ウェブサイトを通じて公開される予定だ。本フェローシップは、これまで周縁化されがちだった女性アーティスト研究を支援するとともに、国内の個別研究を国際的な美術史研究の系譜に組み込むための一歩ともなるだろう。募集の詳細は「NCAR×AWARE 女性アーティスト リサーチフェローシップ」のウェブページから。

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