リズ・トラス政権へのメッセージ? 環境活動家が抗議行動の理由を語る
10月14日、環境活動団体ジャスト・ストップ・オイルの2人の活動家が、ロンドン・ナショナルギャラリーにあるゴッホの《ひまわり》にハインツのトマトスープを投げつけ、世界中で大きな物議を醸した。その1人が、抗議行動の理由を語る動画をTikTok(ティックトック)とツイッターに投稿、数百万回再生されている。
「1つだけはっきりさせておきたいのは、私たちはゴッホの絵に何のダメージも与えていないということ」。そう動画で主張するのは、環境活動家のフィービー・プラマー。プラマーはアナ・ホランドとともにスープを投げつけ、ギャラリーの壁に両手を接着する抗議行動を取った。
オレンジ色の安全ベストを着けたプラマーはカメラに向かい、この抗議は「ちょっと馬鹿げた行動」に見えるかもしれないと話す。その横にはハインツのスープ缶が置いてある。
「私たちは、絵画にスープを投げつけるべきかという問いかけをしているのではない。行動の目的は、(環境問題という)重要な問題に関する議論を盛り上げることだ」
プラマーが人々の関心を集めたいとするのは、リズ・トラス首相が化石燃料の採掘を倍増させようとしていること、洋上風力発電はコストが非常に低いと報告されているにもかかわらず、再生可能エネルギーと比較して化石燃料が受ける補助金額が多いこと、そして、こうした問題と英国のエネルギーコスト懸念や生活費高騰による危機的な状況との関連だ。
「この行動でメディアの注目を集め、議論を高めたい。市民の抵抗が有効なことは、歴史が証明している」とプラマーは続ける。「クィア女性である私が選挙権を持ち、大学に行き、そしていつか愛する人と結婚できるのは、これまでさまざまな抗議を行った人たちがいたからだ」
抗議行動について語るこの動画は、17日に投稿されて以来、TikTokで170万回、ツイッターで710万回再生されている。
プラマーとホランドの2人は、ナショナル・ギャラリーでの行動の後、ロンドン警視庁に器物損壊や不法侵入の疑いで逮捕された。ナショナル・ギャラリーによると、額縁に若干の損傷があったものの、ガラスで覆われていた絵画は無事だったという。《ひまわり》は抗議行動の2日後、元の場所に戻された。
しかし、ジャスト・ストップ・オイルに資金援助をしている米国の団体、気候変動緊急基金のマーガレット・クライン・サラモン事務局長は英ガーディアン紙に対し、メディアの注目を集めるため、近いうちにもっと多くの抗議活動が行われるだろうと話している。
「この運動は急速に拡大している。これからの2週間は、これまでで最も激しい抗議行動が展開される時期になるかもしれない。気を引き締めてほしい」
※本記事は、米国版ARTnewsに2022年10月19日に掲載されました。元記事はこちら。