ウォーホルのBMWアートカーに小麦粉8キロ! イタリアで環境活動家らが抗議行動
11月18日の朝、イタリア・ミラノの文化センター「ファブリカ・デル・ヴァポーレ」で、環境保護団体ウルティマ・ジェネラツィオーネ(最後の世代)のメンバーが、アンディ・ウォーホルによるBMWのアートカーに約8キログラムの小麦粉をぶちまけた。
ビデオには、1979年にウォーホルが塗装したBMWのレーシングカーに近づき、小麦粉を袋からぶちまける様子が映っている。グループのメンバーたちは、「気候変動に注意を喚起することが目的である」と主張。その後、警備員によって引きずり出された。
今回の抗議行動の理由について、参加メンバーである素材科学技術研究者のマリア・レティツィアは、「政府が気候変動の原因となる温室効果ガスの排出を削減する約束を実行しないのであれば、サステナブルな素材を使用しても無意味です。今後もガス排出量は増え続け、その結果、飢餓や、水や食料をめぐる生存のための戦争へとつながっていくでしょう」、「政府に役割を果たさせるためのあらゆる努力をせずに、教室やワークショップで生徒と一緒にいることは、私にとって耐え難いものになりました。私と行動している若者たちは、まだ何かできる最後の世代に属しています。彼らが地球上の最後の世代とならないように助けたいのです」と話した。メンバーは車の窓に体を接着する予定だったができなかったという。
ターゲットとなった作品は、ドイツのBMWが1979年、アーティストにデザインを依頼した20台のうちの1台である。ウォーホルはM1レーシングカーを、28分間、約6キログラムの塗料を使って塗装。その後、フランスのル・マン・サーキットで走行させている。
BMWの文化事業部は声明で、「芸術は貴重であると同時に、触れることができないものです」、「これは全人類のものであり、私たち一人ひとりがなし得る偉大な業績を反映しています。ウォーホルのアートカーは唯一無二の傑作であり、何十年も繰り返し起こっている芸術家の作品に対する暴力的な攻撃には同情しません」と述べている。
今回の抗議は、世界中の美術館で多発している環境活動家による抗議行動のひとつである。最近では、11月15日に、ウィーンのレオポルド美術館でクリムトの絵にオイルがかけられている。彼らの最終的な目標は、芸術作品の破壊行為を通じて偽善を明らかにし、政府に気候変動の影響に対する迅速な行動を促すことであり、ほとんどの場合、作品自体にダメージは生じていない。(翻訳:編集部)
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