今週末に見たいアートイベントTOP5:「新宿」から日本近代美術の歴史を紐解く、韓国デュオが描く「季節が失われた未来像」

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

開館50周年記念 モダンアートの街・新宿(SOMPO美術館)より、木村荘八《新宿駅》1935年 油彩/カンヴァス 97.5×130.5cm 個人蔵

1. 特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」(国立科学博物館)

アノマロカリス(レプリカ)カンブリア紀/ラディオドンタ類/国立科学博物館 
レドンダサウルス(レプリカ)三畳紀/主竜形類/福井県立恐竜博物館
クリオロフォサウルス(レプリカ)ジュラ紀/獣脚類/国立科学博物館
撮影:大橋智之
ステラーダイカイギュウ復元画ⓒかわさきしゅんいち

地球を襲った大量絶滅「ビッグファイブ」の謎に迫る

生命が誕生してから40億年。地球上では地球外からやってきた小惑星の衝突や火山などの地球内部の活動や、ときに生命活動そのものが引き金となり何度も生命の危機が訪れた。しかし生命は、その都度したたかにそれらの危機を乗り越え、絶滅したグループに代わる集団が新たに繁栄することを繰り返すことで、多様に進化を遂げてきた。視点を変えれば、大量絶滅は生命の繁栄を促した現象だと捉えることもできる。本展では、その中でも規模の大きかった5回の「大量絶滅」事変(通称「ビッグファイブ」)を、化石や岩石に残された様々な証拠から紐解き、「生き物たち」の生存をかけた進化の歴史を辿る。

本展では、各種の古生物や火山、古気候・古海洋などを専門とする国立科学博物館の研究者10人による監修で、日本初公開となる最古の木の化石「ワッティエザ」のレプリカ(ニューヨーク州立博物館蔵)や、クリオロフォサウルスやレドンダサウルスの全身骨格などを通して、様々な角度から5回の大量絶滅の謎に迫る。

特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」
会期:2025年11月1日(土)~2026年2月23日(月祝)
場所:国立科学博物館(東京都台東区上野公園7-20)
時間:9:00~17:00(金土は19:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(2月16日、2月23日は除く)


2. ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホ「News from Nowhere:Laboratory of Spring and Autumn Collection」(SCAI THE BATHHOUSE)

ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホ《Phantom Garden》 スチール、2024-2025、
サイズ可変 ©Moon Kyungwon & Jeon Joonho
展示風景。

消失した季節をめぐる、批評的ディストピアの実験室

2009年から活動する韓国のアーティスト・デュオ、ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホによる展覧会。ともに1969年生まれの2人は、結成以前からそれぞれ確立したキャリアを築いてきた。ムンは絵画と実験映画、チョンは彫刻とインスタレーションで知られ、ドクメンタ13やヴェネチア・ビエンナーレなど国際的な舞台で評価を重ねてきた。デュオとしての実践は、現代美術の役割を問い直す長期プロジェクト「News from Nowhere」を軸に展開されている。

本展の中核をなす映像インスタレーション《Phantom Garden》(2024–2025)は、春と秋が消失した未来を舞台に、失われた季節を探る旅を描く。サイエンス・フィクションを想起させる世界観のもと、嗅覚と聴覚が記憶と時間をたどる道標として機能し、気候変動や文明の行方を詩的かつ批評的に映し出す。ここで描かれる未来は、空想にとどまらず、現在を異なる距離から照らし返す「批判的ディストピア」として立ち上がる。あわせて展示される《Prosperos Botanica》(2025)は、植物の形態をアルミニウムで鋳造したインスタレーションだ。近代性とテクノロジーを象徴する素材であるアルミニウムは、失われた過去の痕跡を写し取る「器」として機能し、文明の記憶と未来への問いを同時に孕む。

ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホ「News from Nowhere:Laboratory of Spring and Autumn Collection」
会期:2025年11月5日(水) ~2026年1月31日(土)
場所:SCAI THE BATHHOUSE(東京都台東区谷中6-1-23)
時間:12:00~18:00
休館日:日月祝


3. 中村至男 オン グラフィック(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)

『7:14』(2010)
「提供 明和電機」(1996)
『どっとこ どうぶつえん』(2012)

ミニマムな表現に凝らされた中村至男の世界

グラフィックデザイナーの中村至男は、1990年代よりアートユニット「明和電機」のグラフィックや、佐藤雅彦とともに取り組んだプレイステーション用ソフト「I.Q」などの視覚世界で注目されてきた。中村の得意とするミニマムな表現と多角的な視点の面白さや、人間の想像力を掻き立てるビジュアルは、中村のどの作品にも共通する魅力となっている。

本展は、そんな中村がこれまで手掛けてきた広告や音楽業界の仕事、動画、絵本など多分野の作品に加え、本展のために制作された新作を展示する。過去の代表作の中に現在の作品が織り交ざるように配置され、それぞれの作品を対比させることで新たな魅力を見つけることができるだろう。

中村至男 オン グラフィック
会期:2025年12月9日(火)~2026年1月31日(土)
場所:ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)(東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F/B1F)
時間:11:00~19:00
休館日:日祝


4. 美と祈り—近現代日本美術にみるキリスト教(岡山県立美術館)

牧島如鳩《魚籃観音像》1952年 足利市民文化財団

近現代日本美術に息づくキリスト教の影響

戦国時代に日本へ伝来したキリスト教は、江戸時代の禁教期を経て、明治以降の近代化により再び受け入れられ、日本の美術に多様な影響を及ぼしてきた。本展は、近代日本の芸術家への影響にスポットを当て、その展開を振り返る。

本展では、正教徒の山下りんによる聖像画(イコン)をはじめ、牧島如鳩《魚籃観音像》、小磯良平《斉唱》のほか、クリスチャンとして知られる青木繁らの洋画、舟越保武らの彫刻、さらには竹久夢二や坂田一男など岡山ゆかりのキリスト者による作品もあわせて紹介する。信仰に根ざした表現、キリスト教精神への共鳴、そして歴史へのまなざしが織りなす作品群を通して、近現代日本美術史におけるキリスト教の文化的意義を見つめ直す。

美と祈り—近現代日本美術にみるキリスト教
会期:1月9日(金)~2月1日(日)、2月3日(火)~3月1日(日)※一部展示替えあり
場所:岡山県立美術館(岡山県岡山市北区天神町8-48)
時間:9:00~17:00(1月31日・2月28日は19:00まで、入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜(2月23日は除く)、2月24日


5. 開館50周年記念 モダンアートの街・新宿(SOMPO美術館)

松本竣介《立てる像》1942年 油彩/カンヴァス 162.0×130.0cm 神奈川県立近代美術館 ©上野則宏
中村彝《頭蓋骨を持てる自画像》1923年 油彩/カンヴァス 101.0×71.0cm 公益財団法人大原芸術財団 大原美術館
木村荘八《新宿駅》1935年 油彩/カンヴァス 97.5×130.5cm 個人蔵

日本の近代美術の歴史を「新宿」から紐解く

1976年7月、新宿の地に開館したSOMPO美術館。同館の開館50周年を記念して、「新宿」をテーマとした展覧会を開催する。日本の近代美術の歴史は、新宿という場所の存在なくしては語れない。明治時代末期の新宿には新進的な芸術家が集まった。そして新宿に生きる芸術家がさらに芸術家を呼び込み、近代美術の大きな拠点の一つとなっていった。

本展は、中村彝、佐伯祐三、松本竣介、宮脇愛子ら40人の作品から、新宿ゆかりの芸術家たちの約半世紀にわたる軌跡をたどる。展示は4つの章で構成され、明治・大正期に新進芸術家の中心地となり、中村彝や、荻原守衛らが出入りした「中村屋サロン」から、松本竣介が自身のアトリエで多様な文化人との交流の場を持った「綜合工房」、戦後、福島秀子、大辻清司、瀧口修造らが関わった「実験工房」まで、彼らの代表作を織り交ぜながら時系列で追い、新宿文化の多様性と持続性への理解を深める。

開館50周年記念 モダンアートの街・新宿
会期:1月10日(土)~2月15日(日)
場所:SOMPO美術館(東京都新宿区西新宿1-26-1)
時間:10:00~18:00(金曜は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜

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