歴史ある米美術大学が閉校を発表。NVIDIA共同創設者の財団による巨額支援も救済に至らず
100年以上の歴史を誇るサンフランシスコの美術大学が、2027年に閉校することが発表された。昨年にはエヌビディアのCEO、ジェンスン・フアンから30億円超の寄付を受けたが、入学者減少と赤字拡大に歯止めをかけることができなかったという。
財政難に見舞われているサンフランシスコのカリフォルニア・カレッジ・オブ・ジ・アーツ(CCA)が、2027年に閉校することが発表された。CCAは1907年に開校したサンフランシスコ唯一の美術大学であり、キャンパスは今後、テネシー州のヴァンダービルト大学に売却される予定だという。同校の学長を務めるデイヴィッド・ハウズは、次のような声明を発表した。
「カリフォルニア・カレッジ・オブ・ジ・アーツの未来について重要なお知らせがあります。学生たちが教育を受ける機会を提供し、ベイエリアのクリエイティブ産業において我が校が果たしてきた役割を残すためにも、ヴァンダービルト大学と合意に至りました」
キャンパスの所有権がヴァンダービルト大学に移行した後は、アートやデザイン分野を含む学部・大学院プログラムが同校で展開されるという。あわせて、ヴァンダービルトCCA研究所が設立され、CCAに付属していたワティス現代美術研究所も統合される見通しだ。
この研究所はCCAのアーカイブ資料を管理するほか、卒業生が集う拠点として機能する。ハウズは、こうした取り組みを通じて、ヴァンダービルト大学はCCAが担ってきた芸術教育の理念を継承し、「ベイエリアにおけるアートとデザイン教育を今後も維持していく」と述べている。さらに、一部の学生が学位を取得できるようにすると述べ、下級生については他の認定機関での「編入および修了への道筋」を整備していくと付け加えた。
学生数の減少に歯止めかからず
ハウズによれば、閉校に至った主な要因は入学者数の減少にあるという。授業料に依存した運営モデルは次第に持続可能性を失ない、構造的な赤字が続いたことで、既存プログラムの維持や新規施策への投資が困難になった。
実際、学生数が急減していた2024年には2000万ドル(現在の為替で約31億8400万円)の赤字を計上している。2025年3月にはテック業界からの支援として、エヌビディアの最高経営責任者(CEO)ジェンスン・フアンの財団から2250万ドル(当時の為替で約32億5000万円)の資金援助を受け、CCAは当時「将来に向けたより効果的な対応策を検討する」と述べていた。
サンフランシスコでは、1871年創設のサンフランシスコ・アート・インスティテュート(SFAI)が2023年に破産申請を行い、100年以上の歴史を持つ美術学校が姿を消した。同校は、ミシシッピ川以西で最初に設立された美術学校として知られている。
CCAとSFAIの閉校は、近年相次ぐ美術教育機関の縮小や消滅の流れの一部にすぎない。2024年には、150年の歴史を持つフィラデルフィアのユニバーシティ・オブ・ジ・アーツが、閉校のわずか7日前に学生へ通告し、すべての学位課程を停止した。また2023年には、全米に8校を展開していた私立美術大学ネットワーク「アート・インスティテュート」が、全キャンパスの閉鎖を発表している。(翻訳:編集部)
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